第12回静岡書店大賞 小説部門に岡田真理さん「ぬくもりの旋律」 静岡県内在住作家が3部門トップ
静岡県内の書店員と図書館員が選ぶ「第12回静岡書店大賞」(実行委主催、静岡新聞社・静岡放送後援)が3日、静岡市内で発表された。小説部門は岡田真理さん(静岡市)の「ぬくもりの旋律」(河出書房新社)、映像化したい文庫部門は植原翠さん(静岡市)の「おまわりさんと招き猫 秘密の写真とあかね空」(マイクロマガジン社)、児童書新作部門の1位には手塚治虫さん原作、鈴木まもるさん(下田市)文・絵の「火の鳥 いのちの物語」(金の星社)がそれぞれ選ばれ、県内在住作家が3部門でトップを飾った。 児童書新作部門2位は鈴木のりたけさん(浜松市出身)の「大ピンチずかん2」(小学館)、3位は大塚健太さん作、かのうかりんさん絵の「トドにおとどけ」(パイ インターナショナル)。児童書名作部門は、筒井頼子さん作、林明子さん絵の「はじめてのおつかい」(福音館書店)が受賞した。 「ぬくもりー」は岡田さんのデビュー作。スポーツ紙記者を中心に、その家族や友人を取り巻く人生の機微を丹念に描いた物語。県内の地名も随所に登場する。スポーツライターとして活躍し、テレビドラマの脚本も手がける岡田さんは「1日1日が勝負のスポーツの業界で20年仕事をしてきた。7年前に帰郷し、静岡の温かく柔らかな雰囲気が私にこの小説を書かせてくれたと実感した」と喜んだ。 植原さんの受賞作は「おまわりさんと招き猫」シリーズ4作目。「用宗や清水、焼津など地元ですてきだなと感じる街をモデルにした。シリーズとして続けていきたい。小説を通してなじみ深い風景を楽しんでもらえたら」と期待した。 手塚さんの代表作「火の鳥」は今年、発表から70年の節目を迎えた。鈴木さんは「手塚先生は小さい頃から憧れだった。絵本を命の壮大な世界を知る入り口にしてもらえたらうれしい」と話した。 同賞は8月末までの1年間に刊行された作品が対象。書店員442人、図書館員148人が投票した。県内書店と図書館では同日、受賞作を特集したフェアが始まった。
静岡新聞社