同い年の藤井八冠を“カド番”に追い込む…叡王戦の挑戦者・伊藤匠七段の素顔「タイトル戦を経るたび強く」
その後、立て続けに棋王戦の挑戦者に。第1局は互いに玉を詰ます見込みがなくなり、引き分け。伊藤七段は入念な戦略で、不利な後手番をしのぎました。 藤井八冠: 「結果的に伊藤七段の手のひらの上というか、そういう将棋になってしまったのかなと思います」 しかし第2局以降は敗れ、この時もタイトル獲得はならず、伊藤七段は棋王戦までで藤井八冠に公式戦10連敗となりました。
伊藤七段: 「中盤でこちらがバランス崩す展開が多かったので、前回の竜王戦から課題でもあったんですけどなかなか修正できなかった印象ですね」 しかし、かつてのライバル川島さんはその強さを見逃してはいませんでした。 川島さん: 「タイトル戦を経るたびに、伊藤段七段が強くなっていますよね、明らかに。それに伴って藤井さんも対策を変えている印象を受けるので、藤井さんの伊藤七段に対する警戒の度合いが、徐々に高まっているのだろうというのは推察されます」 川島さんは、タイトル挑戦のたびに伊藤七段にメッセージを送っています。 川島さん: 「おめでとうございます、ありがとうございますくらいです」
LINEのメッセージ画面を見せてもらうと、伊藤七段のアイコンはドラゴンズのマスコット、ドアラの画像でした。 川島さん: 「一時期、ドラゴンズが勝たないから見ないと言っていた気もする」
■叡王戦第2局で遂に初勝利 運命の第4局前に師匠「『やれよな』と思っているだけ」
棋王戦の挑戦失敗から3週間後、伊藤七段は叡王戦でも挑戦者になりました。
伊藤七段: 「前の二つの番勝負の時は、タイトル獲得に期する思いが強かったんですけど、過去の藤井叡王との中盤戦辺りの局面を、より深く重点的に振り返るということはしていました」 先に3勝すれば「叡王」のタイトル獲得。伊藤七段は第1局で敗れましたが、第2局は課題としていた中盤で競り勝ち、藤井八冠に公式戦で初勝利を収めました。 伊藤七段: 「勝てていなかったので、ひとつ結果が出たことはよかったです」