40年ぶり発見、平安の墓 斎宮博物館速報展示 三重・明和
当時の焼き物、全種を副葬
三重県多気郡明和町竹川の斎宮歴史博物館は現在、本年度速報展示「さまざまな土器を副葬した平安時代のお墓」を開いている。約40年ぶりに斎宮跡で平安時代の墓が発見され、そこで見つかった土器などを紹介している。来年4月20日まで。 古代の斎宮は、墓をけがれとみなしてタブー視していた。10世紀に成立した法令集「延喜斎宮式」の中でも、「『墓』という言葉を『壌(つちくれ)』と言い換えよ」という禁則があったほどだといい、平安時代の墓はこれまでの発掘調査でもほとんど見つかっていない。 そんな中、昨年4月から2カ月ほど行った、史跡の北西部で実施した第204―1次調査では、平安時代中頃(10世紀)の地面に掘った穴に遺体を納めた遺構「土壙墓(どこうぼ)」が見つかった。平安時代の墓が見つかるのは、1983(昭和58)年8~11月に行われた第50次調査以来、約40年ぶりとなる。 今回、墓に副葬されていた7個の土器を展示。焼き方の違いで色や質感が異なり、土師器杯(はじきつき)、黒色土器、須恵器など当時の国産の焼き物の全ての種類を含んでいる。大多数の人が墓すら造られなかった平安時代に、数多くの土器が副葬されていることから、ある程度丁重に葬られた人だと推測でき、展示とともに、墓が持つ歴史的意義を考えることができる。 同館職員は「具体的な人物像は分からないが、お墓がない時代に、比較的丁寧に葬られている。亡くなった人への気持ちや、どんな人だったのかなど想像してもらえたら」と話している。 観覧には常設展の観覧料が必要。一般340円、大学生230円、高校生以下無料。