がん疑い指摘見落とし確定診断1年半遅れ…市民病院「申し出があれば補償を検討」
徳島市病院局は27日、市民病院を受診した70歳代の男性患者について、医師が肺がんの疑いを示す検査結果を見落とす医療事故があったと発表した。男性は肺がんの確定診断が1年6か月遅れたといい、治療の準備を進めている。
発表では、2023年5月、男性は脳動脈瘤(りゅう)の手術のため、頭部と胸腹部のコンピューター断層撮影(CT)検査を受けた。放射線科医が肺がんの疑いを指摘したが、主治医の脳外科医は脳動脈瘤の治療に意識が集中し、カルテの記述を見落とした。
24年11月、男性が胸の違和感で同院を訪れた際、CT検査で肺がんの所見があり、担当した内科医が過去のカルテで指摘されていたことに気づいた。男性は翌月に確定診断を受けた。
脳外科医らは男性に対して謝罪。同院は「男性や家族からの申し出があれば、補償を検討する」としている。同院の医療事故調査委員会が脳外科医の処分を検討している。中野俊次院長は「患者さまの治療に全力を尽くし、再発防止に取り組む」とのコメントを出した。