ネット検索の結果は「スバル信者」よりも「GT-R信者」よりも「トヨタ信者」が多いってマジ!? クルマ界の「○○信者」をマジメに考えてみた
ネット上ではトヨタ信者のヒット数が圧倒的だが……
そして──これが大事なことなのだが、上記の順位は「信者数の多寡」ではなく、「関係のない他人が、人様のことを勝手に信者呼ばわりしているケースの多寡」であるということだ。 本当の信者数は、というか「あるクルマに傾倒して、その思想などを熱心に信奉する人」の数は、おそらくだがトヨタ車全般に関する場合より、たとえばGT-RやVTECの場合のほうが多いのではないかと推測する。 以上を踏まえ、私なりに「クルマ界隈における信者呼ばわり問題」を考察してみよう。 結局のところ人は、「自分としてはまったく気に入らないし、その美点を理解もできない(理解したくない)存在」が他者から熱く、高く評価されたとき、評価している者たちを「信者w」といって切り捨てたくなるのだ。「切り捨てる」はいい過ぎかもしれないが、少なくともその嗜好を揶揄し嘲笑することで、自分の趣味嗜好の優位性を確認するのだ。「オレはお前とは違うぜ。オレさまは本当の価値ってやつをわかっているからな!」と。 圧倒的1位となったトヨタについてが、その好例であろう。 最近のトヨタ車は様相が異なるが、確かに10年ぐらい前までのトヨタ車は、総論としてはいささか面白味に欠ける存在であったようにも思える。濃い口の自動車マニアにいわせれば「壊れにくいことだけが取り柄の無味無臭な、つまらなくてダサいクルマ」だ。まぁ10年前のトヨタ車が本当に「無味無臭でつまらない、ダサいクルマ」だったかどうかはさておき、典型的なカーマニアにはウケづらいクルマだったことは確かだろう。 だが、ある種の人間は、自分にとってはつまらないクルマであるトヨタ車が世界中でウケまくり、周囲の人間も買いまくっている事実がとにかく気に食わない。そしてその価値を理解できないし、また理解したくもない。そのため、比較的安価で壊れにくいトヨタ車を「普通に使うぶんにはコレが最高だよね」とごくノーマルに喜んでいる人々に、つい「トヨタ信者乙w」といってしまうのだ。もちろん正面切っていうわけでなく、陰で、匿名でいうわけだが。 つまり、一部の人間は「自分は嫌いだが、明らかに突出した何かを持っているモノや人」のことが気に食わなくて仕方ないのだ。 10年前のトヨタ車に、趣味性みたいな部分で突出したものはなかったかもしれない。だが代わりに信頼性や経済性、販売網の充実度などは明らかに突出していたし、いまもしている。そして同率1位となったマツダのクルマも、賛否両論はあるかもしれないが、「デザインの洗練っぷり」という部分では明らかに群を抜いている。 そして、群を抜いているからこそ、そこが気に入らない人間からは「信者乙w」といわれるのだ。趣味や信条が異なるなら放っておけばいいのに、突出しているがゆえについつい気になり、ついいってしまうのだ。上に記した順位からもわかるとおり、現在ちょっとかわいそうな立場にある三菱やダイハツの愛好家は「信者乙w」とすらもいわれず、無視されている。 そう考えれば、まったく関係のない他人から信者呼ばわりされても「うむ、吾輩が信奉しているブランドの優位性があらためて証明されたようだな。うわっはっはっは!」という感じで高笑いしていればいいのである。 ……なんてことを、青いブルゾンを着ながらノートPCにて車内で書いていたら、通りすがりの小学生3人組から「うわっ、スバル信者! キモっ! モテなそう!」と嘲笑された。悲しい。
伊達軍曹