人間並みに手厚いケア。フィットネス大手がイヌ向けサービスを開始
大和ハウスグループのスポーツクラブNAS株式会社(NAS)は、8月から東京都稲城市のスポーツクラブNAS若葉台(NAS若葉台)に併設した専用施設でイヌのフィットネスサービスを始めた。食事を与えすぎて体重過剰になったり、飼い主の高齢化で散歩もままならず、運動不足に陥ったりする悩みが近年、増加傾向にある。
こうした飼い主のニーズに応えようと、NASは新規事業としてイヌのフィットネスクラブ「わんわんフィットネス」を開始し、第1号店をNAS若葉台に併設した。フィットネス大手では初めての試みだが、サービス開始当初から利用者の出足は早く、約1か月で約140頭が登録し、約70頭が実際にサービスを受けた。
9月初旬、町田市の主婦、大谷美枝子さんはボーダー・コリーの愛犬のベルちゃんを連れてやってきた。ベルは最近、左の後ろ脚の調子が悪く、以前ならできていたジャンプができなくなっていた。9歳という年齢もあり、大谷さんは気になったので連れて来たという。 「わんわんフィットネス」では、プロのセラピストが、イヌの年齢や体力、健康状態に合わせた適切な運動プログラムを提案し、飼い主をサポートする。ベルもセラピストに見てもらったうえで、専用のプールに入れて観察することにした。 セラピストに抱かれてプールに入ったベルは、気持ち良さそうに脚で一生懸命泳ぎ出す。セラピストはその様子を注意深く観察し、水中運動で継続的に脚の筋力をつける必要性などを大谷さんに提案していた。
NAS若葉台が提供するメニューは3つある。一つは、水泳や水中ストレッチを行う「ウォーターエクササイズ」。二つ目は、バランスボールやハードルなどで筋力を高める「エンジョイ アスレチック」。三つ目は、血行や筋肉の緊張を改善する「ボディマッサージ」である。サービス費用は、一回(45分)で4000円から6000円(税別)と人間並みだ。しかしそれでも、多摩地域はもちろん、都内各地や隣県の神奈川などから訪れる客が多いという。支配人の橋本英治さんは、「年間で1500万円程度の売り上げを目指したい」と語る。 こうしたイヌのフィットネスクラブ以外にも、ペット向けの健康管理という観点から、イヌ・ネコ向けのマッサージを買い主に指南する講習会が開かれているほか、マッサージ方法を教えるインターネットサイトなど、ペットの健康維持や体調管理のための様々な情報が提供されている。人間と同様に、適度なマッサージやスキンシップは有効で、イヌやネコも喜ぶという。一昔前なら「ペットに過保護ではないか」と批判されそうな動きだが、飼い主の価値観が多様化しているいま、今後も人々のニーズにあわせた多様な新サービスや商機が生まれてきそうだ。 (3Nアソシエイツ)