【インタビュー】巨人・戸郷翔征 “熱投”の意味「何よりチームが勝てるように、投手陣が良くなるようにどうしたらいいのかを、いろいろ考えるようになった」
芽生えた自覚
巨人・戸郷翔征
巨人の新たなエース――。誰もがそう認める存在になりつつある。WBCでの経験、新たにチームの投手主将に任命された責任感を原動力に投げまくり、G投をけん引している。 取材・構成=杉浦多夢 写真=川口洋邦、桜井ひとし、BBM ※成績・情報は8月27日現在 「調子は決して良くなかった」という前半戦から、着実にチームへ白星をもたらしてきた。WBCでの世界一の歓喜と、投手主将に任命された責任感を新たなモチベーションに変換し、チーム全体を鼓舞する投球を見せ続けている。 ――今季もすでに2年連続の2ケタ勝利を達成しています。 戸郷 結果に関しては僕が思っていた以上のものが出てくれたかなと思います。前半戦は調子が悪い中でも勝ち星を重ねることができたので、勝ち星という意味では納得できる部分はありますね。野手の方が打ってくれましたし、自分の完封勝利もありました。ただ、しっかり点を取ってもらったのに落とした試合もあるので、もっと成長しなければいけないと感じる部分は多いですね。 ――前半戦は調子が良くないと感じるところがあったのですね。 戸郷 球速も出なかったですし、フォークの落ちも悪くて三振も少なかった。いろいろなアプローチをしたのに、思ったような投球ができないというのはありました。その中でも結果が出たというのは、いいところでもあります。 ――WBCに出場して休みなくシーズンに突入し、コンディション調整の難しさがあったのでしょうか。 戸郷 少しはありましたね。WBCでだいぶ使い切った部分もあったので。もちろん世界一になることができて、ものすごく良い夢を見させてもらいましたし、それが良い面に働いているところもたくさんあるんですけど、良いところもあれば悪いところもあったのかな、と。 ――良い面として、WBC出場の経験で得られたものは大きかったのでは。 戸郷 いやあ、大きかったですね。ダルビッシュさん(ダルビッシュ有、パドレス)とプレーできたこともそうですし、大谷さん(大谷翔平、エンゼルス)のピッチングもバッティングも間近で見ることができたのも本当によかったです。日本の選手たちも、オールスターで数日一緒になることはあったんですけど、1カ月半とか、こんなに長く一緒にいることは初めてだったので、たくさんの話をすることができた期間でしたし、勉強しかなかったですね。 ――今のモチベーションにもつながっていますか。 戸郷 世界一になったこともそうですし、世界大会の雰囲気というのもすごく楽しかったので。その経験をチームに持ち帰って、伝えることが一番大切だと思ったので、「こんなだったよ」っていうのはみんなに伝えました。「アメリカはこういうところだったよ」「相手もすごかったんだよ」って。 ――戸郷さん自身としても1試合を挙げるなら、やはりアメリカとの決勝になるでしょうか。 戸郷 準決勝(メキシコ戦)の村上さん(村上宗隆、ヤクルト)のサヨナラ打というのも本当に痺(しび)れましたけど・・・
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週刊ベースボール