「見ていて心地いい」「じっくりと深掘り」…BSで中年芸人の冠番組が続々スタート! その納得の理由
地上波のロケ番組のように効率よく飲食店や観光地を巡り見どころを作るのではなく、スタッフや地元民との自然なやり取りのほうに重きが置かれているように思う。また、喫茶店や蕎麦屋、中華料理屋、異郷の駅前食堂、建物巡りなど、あらゆるパターンのロケ番組が見られるのもBSならではの魅力だろう。 もう1つ、何らかのテーマを比較的少ない出演者でじっくりと深掘りする点も大きな特徴だ。例えば’14年に放送を開始した番組『球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~』(NHK BS1)は、“野球にまつわる究極の辞典”をコンセプトに制作されている。 「流し打ち」「ヒットエンドラン」「ツーシーム」「完全試合」「投球間隔」など放送回ごとにテーマを変え、’19年12月から司会を務めるナイツ・塙宣之を中心に3、4人のスタジオゲストとともに語らっていく。 メイプル超合金・カズレーザーが司会を務める『X年後の関係者たち』も、基本的には同じスタイルだ。かつて一世を風靡したエンタメや商品、社会現象化したプロジェクトなどを採り上げ、その関係者3、4人を招いて映像VTRとともに当時の舞台裏を述懐。 毎回違うテーマを“同窓会形式で振り返る”というコンセプトも秀逸だ。 美術セットや豪華なキャスティングに力を入れるのではなく、“番組が持つ個性をふんだんに視聴者に届ける”という点でいずれも共通している。こうした見せ方は、低予算で制作されるBS放送ならではの工夫と言えるだろう。 ◆地上波では見られないエピソードが飛び出す 視聴者側からすると、地上波ではあまり見られないシーンやエピソードが飛び出す楽しさもある。 この点においては、昨年4月に2週にわたって放送された『ウォーキングのひむ太郎』が真っ先に思い浮かぶ。バナナマン・日村勇紀とゲストのバカリズムが下積み時代に過ごした思い出の地(明大前、新代田、下北沢など)を巡る企画で、番組を見ているこちらも一緒に参加しているような気分になった。 何よりも、街をウォーキングしながら思い出話に花を咲かせる中で、バカリズムが「(筆者注:日村と遊んでいる中で)『これからどうする?』っていう話で『○○しーの、○○しーの、帰りーの』『帰んのかい』ってずーっと遊んでたのを、そのままネタにして『トツギーノ』に進化した」と語るなど、自然なやり取りの中でくだらなくも興味深いエピソードが次々と飛び出すのが新鮮だった。