「見ていて心地いい」「じっくりと深掘り」…BSで中年芸人の冠番組が続々スタート! その納得の理由
また、今年1月3日に放送された『ひむひむゴルフ~仲間とプライベートなGOLF旅~』(BSテレ東)も記憶に新しい。まず目を引くのが、バナナマン・日村、土田晃之、おぎやはぎ・矢作兼、オードリー・春日俊彰という珍しい組み合わせだ。 内容はプライベートのようにゴルフ場を旅するというもので、とくにプレー後に温泉やグランピングを楽しむ4人の姿が新鮮で胸が躍る。また放送翌日、矢作が自身のラジオ番組の中で、オープニング撮影後、プレー中盤の食事前後と春日がハンチングを被るシーンの前に逐一髪を洗って整髪料を落としていたことに触れ、「こいつはプロフェッショナルだなって感動した」と番組の裏話を明かしていたのも印象深い。 長らく続く前述の『世田谷ベース』にしろ、所ジョージがアドリブで進行し視聴者を楽しませている。これに加えて時折大物ゲストが登場したり、ガレージを離れてサーキットレースに参加したり、同局のCS番組『しおこうじ 玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村NEXT』(フジテレビNEXT)に出演したりと、かねて自由度の高さとリアリティー、何らかの意外性がBS放送の武器になっているのだろう。 ◆高めの年齢層をターゲットとする企画 「家でBSしか見てない。(中略)やっぱ1日にさ、夜帰って見られる番組数って決まってるじゃない、ある程度さ平均的に。これ以上増やすと追いつかなくなっちゃうんだよね、だから。毎週毎週ほら、溜まってっちゃうというかさ」 これは今年1月27日深夜に放送された『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)の中で春日が発した言葉だ。地上波での活躍に留まらず、春日自身もBS冠番組『趣味を見つけたい!』をスタートさせたのは、40代中盤という年齢によるところも大きいのかもしれない。 ’80年代までの流行歌にスポットを当てた『昭和歌謡ベストテンDX』(BS-TBS/司会 関根勤)、芸歴20年以上の芸人たちによるネタバトル『お笑い成人式』(BSフジ)といった企画の方向性を見ても、全体的に高めの年齢層をターゲットとする番組が多いことに気付く。 SNSやサブスク文化が根付き、頻度の高い情報更新が求められる昨今、むしろBS放送のようにテレビクオリティーでじっくりと見せる番組もまた求められているのかもしれない。 取材・文:鈴木旭 フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。2021年4月に『志村けん論』(朝日新聞出版)を出版。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中。http://s-akira.jp/
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