中国で苦境のホンダ系部品会社が人員・能力削減の嵐、ホンダの生産台数は最盛期の6割、中国勢との取引を開拓する動きも
「もはやホンダを当てにするような戦略は中国事業で描けない」。あるホンダ系部品メーカーの首脳はそうため息をついた。 【表で見る】主要なホンダ系部品メーカー、7社のうい5社で中国事業が減益 世界最大の自動車市場である中国で日本車の販売が落ち込む中、日系部品メーカーの中国事業も苦戦が鮮明になっている。上場する主なホンダ系部品メーカー7社のうち5社で中国事業が減益となった。 ■中国事業関連の損失計上が相次ぐ アンダーボディを中心に手がける車体部品メーカーのエイチワンは、中国の連結子会社で工場の投資回収が難しくなったとして150億円超の減損損失を計上したことなどから、2023年度は188億円の営業赤字、216億円の最終赤字となった。ちなみに赤字は3期連続だ。
車体部品を手がけるJ-MAXは、2023年度の中国(広州と武漢)のセグメント(経常)利益は1200万円と、2022年度の計16億円弱から激減した。広州で生産設備の廃棄や約200人の人員削減を行ったことも響き、2023年度は10億円の最終赤字となった。 2社以外でも、2023年度に中国事業で人員削減や設備縮小による損失計上を余儀なくされた部品メーカーは多い。言うまでもなく、ホンダの中国での不振が背景にある。
2023年度のホンダの中国での販売台数は122万台だった。前期比では2.5%減と落ち込みは小さく見えるが、2020年度の179万台に対しては68%の水準だ。部品メーカーの業績に直結する生産台数は2023年度に116万台。ピークだった2020年度の187万台の62%でしかない。 「期初にホンダが示していた台数より10万台単位で少なかった。準備していた生産設備や人員が余剰となり、固定費が重くなった」と、複数のホンダ系部品メーカー幹部は口をそろえる。
もっとも、各部品メーカーの中国事業のリストラはこれで終わりとなりそうにない。 ■ホンダも中国事業のリストラを進める ホンダは昨年末に広州汽車集団との合弁会社である広汽ホンダで全従業員の7%に当たる派遣社員約900人の契約を前倒しで終了した。さらに広汽ホンダでは生産領域で希望退職を募集し、5月半ばまでに約1700人の応募があったという。 藤村英司CFO(最高財務責任者)は中国事業について、「広汽ホンダや(東風汽車集団との合弁会社)東風ホンダ、子会社も含めて、自然減など入れて3000人ぐらいまで減らすことはやりきった」と説明する。