パリへの道 岩井ツインズ強さの源、母校・埼玉栄高の「自主性」 五輪ゴルフ代表争い20日開幕「全米女子プロ」で決着
女子ゴルフのメジャー第3戦「全米女子プロ選手権」は20日から4日間、米ワシントン州のサハリーCC(6638ヤード、パー72)で行われる。大会後の24日付世界ランキングを基にした五輪ランキングでパリ五輪の出場者が決定。最後の望みをかけて出場する世界ランク36位の岩井明愛(21)、47位の千怜(21)=ともにHonda=の双子姉妹が鍛えた、埼玉栄高ゴルフ部を取材した。(取材構成・阿部慎) 【写真】手を握り合う岩井明愛と千怜。2人で力を合わせて活躍を目指す 前週の「ニチレイレディス」で姉・明愛がツアー5勝目を挙げるなど女子ゴルフ界を席巻する岩井ツインズの土台は、埼玉栄高で築かれた。同5勝の渡辺彩香や2勝の菅沼菜々らも輩出している強豪校。植草一成監督は「ゴールは試合でいいパフォーマンスをしてもらうこと。そこまでのプロセスは各自で選ばせてあげた方がいい」と自主性を尊重する指導方針を掲げ、選手を育ててきた。 JR川越線・西大宮駅から徒歩4分。校舎に隣接する形でゴルフ部の拠点がある。2022年12月に完成した部室とともに、ネットで囲われた本格的な練習場は約50ヤードの距離。2階建てで打席数も多く確保されている。 昨年11月には、隣接の空き地をパッティンググリーンとアプローチ練習場に改修した。週2回は近隣のコースでラウンド練習も実施。部員はそれぞれの地元での練習も選択することができる。現在部員は男女計83人(3年28人、2年23人、1年32人)。それぞれが目標を立て、クラブを握っている。主将の松谷崇嗣(3年)は「上手、下手関係なく、みんなでうまくなろうとしています。環境も恵まれています」と語った。 植草監督には高校時代の岩井姉妹に忘れられない思い出がある。ある朝、こちらも強豪の駅伝部顧問に「ついてくるんだよね」と言われた。視線の先には2人の姿があった。「一緒に走っていました。意識が違いましたし、本当に努力していた」と笑顔で振り返った。 自主的に上達を目指す姿が、受け継がれる埼玉栄の精神だ。昨年は男子が全国高校選手権で5年ぶりの団体制覇。「今年は2連覇を目指しています」と松谷主将は力を込めた。岩井姉妹は今週の「全米女子プロ」で逆転でのパリ五輪出場を目指す。さらなる高みへ、現役部員もOB・OGも歩み続ける。 ★パリ五輪のゴルフ