【特集】行く先々で“監視”“尾行”される取材班…中国当局が警戒する“不都合な報道” 海を撮影するだけで拘束も!?「不動産不況」「史上最悪の就職難」が加速する現地の“今”を現地特派員が解説
(就職活動中・陳さん) 「2023年後半に入り、リストラされました」 陳さん(24)は大学を卒業後、上海の不動産関係の会社で働いていましたが、経営の悪化で11月に解雇され、今は新しい職を探しています。家賃の節約のため、上海の中心部から車で1時間ほどかかる場所の部屋を月5万円ほどで借りていますが、このままだと家賃が支払えなくなると、心配しています。
(陳さん) 「これは地元の料理で、実家から送られてきたものを食べて、節約しています」 苦しい生活のなか、陳さんが夢見るのは、“普通の暮らし”です。 (陳さん) 「私の夢は、上海で仕事に就くこと。生活と仕事を安定させ、貯金をして、実家に自分の家を建てたいです」
“爆買い”から一転、若者に広がる節約志向 就職難の背景にある「大学の増やしすぎ」
Q.現地の様子は、いかがですか? (「NNN」中国・上海支局 渡辺容代支局長) 「私は、上海の中心部にある豫園(よえん)という観光地にいるのですが、開発が中断した商業施設があります。地元の人からは、『一等地の観光地に、廃墟のような建物があるのは残念だ』といった声が聞かれます。中国メディアによると、6~7年前に建設が中断され、競売にかけられたものの、買い手がついていないということです」
Q.今後、中国経済は、さらに悪化していくのでしょうか? (渡辺支局長) 「中国の不動産不況は、上海のような大都市でも例外ではなく、街中にはマンションや商業施設が建設途中で止まった状態のものがみられます。また、中国全土をみても、11月の新築住宅価格は、主要70都市のうち59都市で、前の月より下落しています。こうした不動産不況に端を発した経済の先行きの不透明さから、消費者の中には節約志向が広がっていて、中国の消費が転換期を迎えていると感じます」
Q.節約思考は、若者にも広がっているのでしょうか? (渡辺支局長) 「就職難ということもあり、若者にとっては、より切実です。毎年11月11日は『独身の日』といわれ、ネット通販各社が大規模なセールを行うのですが、取材した若者らは『日用品を買うに留めるのみ』と口を揃えて言っていました。また、取材した就職活動中の男性も、今は自宅は持たず、1泊約1600円の民宿で寝泊まりしながら、就職先を探しているということでした」 Q.就職難の背景には、何があるのでしょうか? (渡辺支局長) 「一因となっているのは、大学を増やしすぎたことだといわれています。かつて中国は『世界の工場』といわれたように、豊富で安価な労働力を供給してきたのですが、そこから高度な人材を持つ国へと転換を図ろうとしました。その結果、大学生は増えたものの、受け入れる側の企業の需要が経済の低迷により低下してしまい、就職難が発生しているといわれています。また、大学を卒業した学生たちが望む就職口と、企業側の求める人材がミスマッチを起こしているともいわれています。実は中国では、製造業・配送業を中心に人材不足に悩む業種は多いのですが、大学を卒業した人はそういった職業にはなかなか就きたくないという実態があります」
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