この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLiRT」がアメリカで広がっている
<アメリカの下水道で発見されたオミクロン株の仲間が、この夏流行するのではないかと懸念されている>
科学者たちは、この夏、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の波がきそうだと警告している。アメリカで、かつて大流行したオミクロン株の亜系統(遺伝子配列が異なるウイルス)が広がっていることがわかったからだ。【パンドラ・デワン】 【動画】マスク姿のアジア人女性がNYで暴行受ける これらの新しいウイルスは、スパイクタンパク質における変異の位置から「FLiRT(フラート)」と総称されている。FLiRTは、これまでの亜系統と何が違うのだろうか? 本当に懸念すべきものなのだろうか? 英ウォーリック大学の分子腫瘍学教授を務めるウイルス学者のローレンス・ヤングは本誌の取材に対し、「FLiRTは米国の下水道で初めて確認されたが、正確な起源はわからない」と述べた。「(現在)米国内外で広がっている」 米疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、アメリカではいま新規感染の25%がFLiRTの一種のKP.2によるものだ、とヤングは言う。「このKP.2が夏の感染の波を引き起こさないか懸念している」 初期の証拠によれば、KP.2はこれまでの亜系統より感染力が強そうだが、危険性が高いかどうかを判断するのは時期尚早だ。 「この亜系統の拡大を監視すべきだが、今では検査もあまり行われていないことを考えると難しい」とヤングは話す。「新型ウイルスの拡大と免疫力の低下は、特に最も弱い立場にある高齢者や免疫不全者にとって問題だ」 「現在入手可能なワクチンは、これらの新しい亜系統に完全には適合しないが、これまでの亜系統と同様、ワクチンのブースター接種にはいくらかの防御効果が期待できる」とヤングは言う。「今後数カ月間、FLiRTの亜系統が小さな感染の波を引き起こす可能性はある」 わかっている限りでは、症状は既存の亜系統と類似している。CDCは以下のような症状を挙げている: ・発熱や悪寒 ・せき ・息切れ ・倦怠感 ・筋肉や体の痛み ・頭痛 ・味覚や嗅覚の喪失 ・喉の痛み ・鼻水 ・吐き気や嘔吐 ・下痢 FLiRTから身を守るには、人との距離が近い場所ではマスクを着用するなど「通常の予防策」を推奨する、とヤングは言う。 (翻訳:ガリレオ)
パンドラ・デワン