卒業シーズンの米キャンパスで高まる緊張、大学はデモに強硬姿勢
(ブルームバーグ): イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘をきっかけに米国各地の大学で学生の抗議活動が広がる中、卒業シーズンを迎えたキャンパスには卒業式に出席する家族らが集まり、公共の安全確保を目指す大学側は難しい対応に追われた。
デューク大学やカリフォルニア大学バークレー校などで週末に行われた卒業式では、親パレスチナ派の活動家による小規模な抗議デモが発生。マサチューセッツ工科大学(MIT)やペンシルベニア大学などはここ数日、抗議デモに参加する学生に対し逮捕や停学、退学処分の可能性の警告など強硬な姿勢を見せている。
デューク大学では、学長が著名コメディアンのジェリー・サインフェルド氏を基調講演者として紹介すると、学生約30人が「パレスチナに自由を」と唱え、旗を振りながらその場を退席する事態となったが、同氏は抗議デモについて言及を控えた。
カリフォルニア大学バークレー校では、11日にカリフォルニア・メモリアル・スタジアムで行われた卒業式のさなかに、少人数の親パレスチナ派デモ隊が現れ、旗を振りながらスローガンを唱えた。大学の広報担当者によると、デモ隊は自発的にスタジアムを去り、暴力行為や逮捕が行われることもなかったため、式典は予定通り進んだという。
ウィスコンシン大学マディソン校のキャンプ・ランダル・スタジアムでは、数人の学生がほぼ無言の抗議を行った。AP通信によると、逮捕者は出なかったという。
同大学の広報担当者ジョン・ルーカス氏は電子メールで、11日の「卒業式に出席した数千人の学生のうち、少数が意思表示をすることを選択したが、式典自体は中断されなかった」と説明した。
混乱への対応は学校ごとに異なるが、有名私立大学のほとんどは、イスラエルと関係のある企業からの資金引き揚げの要求には屈しないことを示唆し、抗議する学生が設置したテントの撤去に動いた。
コロンビア大学では、キャンパス内の建物を数十人が占拠したため警察が突入し、100人余りが逮捕されたことを受けて、大学全体での大規模な卒業式の中止が先週発表された。