新型スイフトは先代よりもすべてが「ひとクラス上」スズキの良心が凝縮されたようなコンパクトカーだ
ほぼエンジンだけの実力で軽々と20km/L超
ボディカラーはクールイエローメタリック×ガンメタリック2トーン(5万5000円) 撮影を兼ねた試乗時間では、郊外路を燃費を意識せずに20km超走り、平均燃費は22.2km/Lだった。WLTCモード燃費は24.5km/Lである。発電兼用のオルタネーター(ISG)で減速時に回生を行なう、いわゆるマイルドハイブリッドシステムは搭載しているが、ほぼエンジンだけの実力で軽々と20km/L超の燃費を出してくれるのはありがたい。 前述したように頼もしいエンジンで、信号待ちからの発進から巡航スピードに達するのに、ストレスを感じることはなかった。それどころか、アクセルペダルをちょっと踏み増したときに反応良く力を出してグッと背中を押すように加速してくれる、その反応の良さと力強さがいい。 車内が静かなのは、徹底した遮音対策の効果だろう。ダッシュパネルの板厚を上げたり、フロアカーペットの目付を上げたり、減衰接着材を使ったり、Aピラー内にバッフル(発泡充填剤)を追加したりした効果は着実にあり、先代よりもひとクラス上の静粛性を手に入れている。 走りもひとクラス上に進化した印象。それも、持ち味である軽快さを失わずに。プラットフォームはキャリーオーバーだが、ドア開口部などに構造用接着材を採用して剛性を向上。フロントはストラット式、リヤはトーションビーム式のサスペンション形式に変わりはないが、どちらも手を入れている。 フロントはスタビライザー(アンチロールバー)径を拡大してロール剛性を高めた。ロールは抑える方向、かつ旋回時は外輪への荷重移動が早くなり、応答が高まる。硬くは感じなかったし、スイフト持ち前のしなやかさは失っていない。キビキビした動きに感じられるが、過敏ではない。あくまで、軽いクルマの動きにマッチした、軽やかな動きだ。 リヤサスペンションは一新している。トーションビームの形式は変えていないが、板金部品を減らして軽量化を図るとともに、ねじりも変えている(サプライヤーを変えた)。 ダンパーの取り付け点を下げてストロークを伸ばすと同時に、バンプストッパーを新設計した。フロントも同様(2WDのみ)で、ゴム製だったものを発泡ウレタン製に変更しつつ長くした。リヤはもともとウレタン製だったが、これも長くした。フロント、リヤともに(ゴムに比べて)柔らかいウレタンを早めに当てて、突起乗り上げのような大きな入力があったときの当たりを柔らかくする狙い。 「当たりが強い」という市場からの声に対応したもので、その声に対処したのだから当然、突き上げに対する減衰は良くなっている。上質感が増した理由のひとつだ。新型スイフトは走りの良さに磨きがかかっただけでなく、乗り心地や静粛性など、快適性の面でも磨きがかかっており、魅力が大きく増している。スズキの良心が凝縮されたようなコンパクトカーだ。 スズキ・スイフトHYBRID MZ 全長×全幅×全高:3860mm×1695mm×1500mm ホイールベース:2450mm 車重:950kg サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトーションビーム式 駆動方式:FWD エンジン形式:直列3気筒DOHC エンジン型式:Z12E型 排気量:1197cc ボア×ストローク:74.0mm×92.8mm 圧縮比:13.0 最高出力:82ps(60kW)/5700rpm 最大トルク:108Nm/4500rpm 過給機:× 燃料供給:PFI(ポート噴射) 使用燃料:レギュラー 燃料タンク容量:37L モーター:WA06D型直流同期モーター 最高出力2.3kW(3.1ps)/1100rpm 最大トルク60Nm/100rpm トランスミッション:CVT WLTCモード燃費:24.5km/L 市街地モード20.8km/L 郊外モード24.8km/L 高速道路モード26.3km/L 車両価格:216万7000円(試乗車はオプション込み251万7130円 全方位モニター付きメモリーナビゲーション13万3100円など)
世良耕太