地下鉄でパンク?国内唯一のゴムタイヤ採用 札幌市営地下鉄のナゾ
札幌市の地下鉄は1971年に南北線が開通しました。 当時は北24条駅から真駒内までの12.1キロ。 平岸駅を越えたあたりから地上のシェルターへと上がります。 これは、旧定山渓鉄道の線路跡地を利用していたからです。
なぜ地上に出たのかというと、地下を通すよりも建設費を低く抑えられるためでした。 車両が地下から地上にのぼる平岸駅から南平岸駅にかけて急こう配となっているため、傾斜を上りやすいゴムタイヤが採用されたのです。
さらにもうひとつ特徴的なことがあります。 南北線や東西線、東豊線でも、車両が走るときに「チュンチュン」と音が鳴ります。 その原因となっているのが、車両からの電気を外に逃がす部品です。
鉄の車輪は電気をそのまま外に逃がせますが、電気を通さないゴムタイヤの場合は、電気を逃がすための特別な部品が必要なんです。 この部品とレールがこすれることで、特徴的な「チュンチュン」という音が出るのです。 まさに、ゴムタイヤを採用している札幌の地下鉄でしか聞くことができない音です。
専門家は地下鉄のタイヤ走行をこう分析しています。 (江戸川大学 大塚良治教授)「スピードは鉄輪に比べて出ない。あれだけ大きな車体をゴムタイヤで支えるわけですから、どうしても鉄道車両に比べるとスピードは劣る。他の鉄道との乗り入れが事実上不可能になる。東京や大阪では地下鉄は他の路線に乗り入れているが、札幌では不可能なので、閉じた空間で路線が運営せざるを得ない。ただレールだと、脱線事故もあります。そういう心配はないので走行は安定する。トータルで考えれば(ゴムタイヤの)メリットは小さくない」 大塚教授は、今回の事故原因の調査をしっかりと行うことが重要だと指摘した上で、独立採算制を採っている札幌市営地下鉄が、今後の人口減少社会を迎えるなか、東豊線の赤字を抱えながらも安全性を担保していけるのか考えていくべきだと話していました。
札幌市営地下鉄は独自の路線を貫いているということがわかりましたが、開業から半世紀で更新やメンテナンスは欠かせません。 今後も南北線さっぽろ駅のホーム増設工事など再開発が予定されています。 利便性の向上や収支への向き合いなど重要な視点ですが、そのベースに「安全」が求められることは言うまでもありません。