「今なら本を出す意味があるかもしれない」新しい家族のかたちを発表したpecoがエッセイ本を上梓した理由とは
ryuchellがいた空気感をそのままにしたかった
――小さい時から「自分大好き!」な子でしたか。 peco そうだった気がします。お母さんが人と比べることをしない人だったんです。褒めてくれる時も、「一番よかったよ」じゃなくて、「あなたが頑張ったからね」みたいな感じで、周りとの比較ではなく、私個人を評価してくれたことが大きかったかもしれません。 それと、末っ子で甘やかされてきたこともあるかな(笑)。 ――逆に、パートナーのryuchellさんは常に高いところを目指して頑張っているイメージがあります。 peco そうです。だから正反対でしたね。テレビでうまくできないことがあると泣くほど悔しがっていたのですが、その姿を見て、「逆になんで自分ができると思ってるん?」と思ってました(笑)。 だからryuchellには、「ハードルを高くするからしんどいんやで。出来へんくて当たり前って思っとき」と、よく言ってました。 ――本書の制作の最中にryuchellさんが亡くなってしまったわけですが、出版の日を迎えました。 peco それこそ、本が完成するタイミングでの出来事だったので、ryuchellの最後の最後が詰まった内容になっていました。ryuchellがいなくなったからといって原稿を変えてしまうのは私自身さみしいし、ryuchellがいた空気感をそのままにしたくて、あえて書き直しはしませんでした。それはもう、自分のためですね。 あとは、息子が大きくなった時に、「ダダ(ryuchellさんのこと)はあの時、一生懸命自分を守ってくれたんだ」と、ryuchellの愛も伝わったらいいなと思っています。
小泉なつみ