競馬場のイベント巡る受託収賄事件 愛知県競馬組合元課長に有罪判決
名古屋競馬場の移転に伴うイベントを巡り業者から341万円の賄賂を受け取ったとして、受託収賄罪に問われた愛知県競馬組合の元総務広報課長石黒弘喜被告(56)=愛知県岩倉市=の判決公判が16日、名古屋地裁であった。森島聡裁判長は懲役2年6カ月執行猶予5年、追徴金341万円(求刑懲役2年6カ月、追徴金341万円)を言い渡した。 判決によると、石黒被告は2021年6~8月、イベント会社営業開発部長だった男(34)=贈賄罪で有罪確定=から、イベント公募に関する公表前情報の漏洩(ろうえい)や企画提案書の添削など有利な取り計らいを受けたい旨の請託をされ、取り計らいへの謝礼などの趣旨で、22年4~5月に男側から計341万円の賄賂を受け取った。 判決は、情報漏洩などの便宜によって被告と男の企図通りの委託先にイベント業務を公募で受注させることで、被告が実質経営する下請け会社に利益が入る計画を実行したと認定。「担当課長として選定手続きの公正には一層留意すべき立場でありながら犯行に及んでおり、強い非難に値する」として、弁護側の無罪主張を退けた。 一方、計画の考案などには贈賄側の男が積極的に関与していた点や、被告が贖罪(しょくざい)寄付をしている点なども考慮し、執行猶予付きの判決が相当だと結論づけた。(渡辺杏果)
朝日新聞社