新作映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』福田己津央監督「僕としては20年ではなく2、3年くらいしかたってない気持ち」
■こだわりまくったモビルスーツ戦! ――今作のモビルスーツ戦でこだわったことは? 福田 テレビシリーズのときとの最大の違いは、モビルスーツの描写に3DCGを取り入れたことですね。ただすべてをCGにするのではなく、従来の手描きの作画と3DCGのハイブリッドにしています。CGのほうが表現しやすいシーンもあれば、手描きのほうが迫力が出るシーンもあったので、使い分けてますね。 ――どこが手描きでどこがCGかをチェックするという楽しみ方もできそうですね。 福田 細かい描写でいうと、ミサイルやビームのスピード感はこだわってますよ。ミサイルは画面に残るようなスピードで飛ばないし、ビームなんてもっと高速なわけで、そういう見せ方は追求しました。 ――「SEEDシリーズ」といえば、モビルスーツ戦の高速演出が特徴ですからね。 福田 そういうイメージを持っているファンが多いんですよね。今作のスタッフには、テレビシリーズをファンとして見ていたという若い世代も入っているんですけど、製作開始当初は"『SEED』らしさ"の感覚のズレがあったんです。 若いスタッフが「『SEED』ってこうですよね」っていう描き方は、だいたい劇中終盤のモビルスーツ戦の手法なんですよ。でもテレビシリーズのときは、前半は割とリアル系のロボットの挙動を意識した描き方をしていて、目が追いつかないような高速な戦闘にはしていないんです。 ――言われてみれば確かに。 福田 劇中でモビルスーツが進化して強くなっていくので、放送の1年かけて徐々に見せ方のスピードを上げて、性能が向上していることを表現していたんですよ。今作では同じことを2時間の尺の中で表現しました。 ですから序盤のシーンの製作中に、モビルスーツをすごく速いスピードで動かそうとしていたスタッフがいて、彼はそれが『SEED』っぽさだと思っていたようなんですが、こういう手法は終盤まで取っておくようにとお願いしました。 序盤はトリッキーな動きはなしで、現実にあるメカらしさを意識して、とにかく地味にリアルにやってくださいと。