サイバー攻撃年間6000億回! 狙われるニッポン…国を挙げて迎え撃つ!【WBS】
国の最新観測システム
国も対策に乗り出しています。国の機関「NICT 情報通信研究機構」を取材しました。 NICTでサイバーセキュリティを指揮するのがNICT 情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究所の井上大介副研究所長です。コントロールルームでは、日本に対するサイバー攻撃をリアルタイムで監視しているといいます。 「モニターに日本に向かって何かたくさんの物体が届いているのが映し出されていますが、これは何を表しているのでしょうか?」(角谷暁子キャスター) 「これは『ニクター』というサイバー攻撃の観測システム。(物体は)この瞬間、観測されている無差別型のサイバー攻撃」(井上副研究所長) ミサイルのような形で表されているのが、日本へのサイバー攻撃です。ここでは常時ネット上にある30万のIPアドレスを観測しています。 「1年間で約6000億回ぐらいの攻撃が我々の観測網に届いている。このあたりがIoT機器、例えばブロードバンドルーターやウェブカメラを狙ってきているもの。高いところはパソコンを狙っている攻撃数を高さで表している」(井上副研究所長) 最近では、一般家庭のインターネット回線のルーターやネットに繋がる家電などへの攻撃も増えているのです。 「感染すると、そこを踏み台にして家の中に入られデータを盗まれることもある。あるいはそこをまた踏み台にして、次のところに攻撃を仕掛ける。発射台のように使われるリスクもある」(井上副研究所長)
こちらは「NIRVANA改」と名付けられたシステム。企業や自治体、大学などのネットワーク内の異常を検知できるといいます。 「六角形のマークのひとつひとつがセキュリティの警告。問題が起きている機器が一体何かたどっていきたいと思う」(井上副研究所長) この警告をクリックして、システムの中に深く入り込みます。 「ウイルスがこの中で検知されている」(井上副研究所長) 検知したウイルスの通信を遮断し、対策を打ちました。 NICTは、こうした研究開発の成果や技術を日本の企業などに提供し、サイバーセキュリティの向上に役立てています。 国を挙げて力を入れる背景について井上副研究所長は「日本のサイバー攻撃の対策がほぼ海外の製品で賄われている。非常にセキュリティの自給率が低い状況にあるのが大きな問題点。日本の中でセキュリティのデータを集めて分析して、分析結果を使いセキュリティ製品をしっかりと作り出す。日本国内でそれを使い広げていく」と話します。 井上副研究所長は身近な対策として一般家庭にあるブロードバンドルーターのアップデートを推奨します。説明書、あるいは製品番号をネットで検索するとアップデートの正しいやり方が出てきます。正しくアップデートをする、またはあまりにもルーターが古い場合には、これを機に買い替えを検討するのもいいとのことです。 ※ワールドビジネスサテライト