箱根駅伝予選会展望 大激戦を突破する10校は? 有力校トップ候補から復活を狙う逸材まで
【学生連合入りを狙うエースたち】 前回は関東学生連合の編成はなかったが、今回は復活する。このチャンスに燃えているのが、第99回大会で関東学生連合に選出された古川大晃(東京大大学院D4年)だ。9月後半の日本インカレ10000mでは日本人で唯一、留学生に食らいついた。 「第100回大会で選抜チームがなかったのは、本当にショックでした。途方に暮れてどうしようかなと思ったんですけど、(連合チームを)復活してもらえたので、天からもらったチャンスだと思って、しがみつきたいと思います」 古川は熊本・八代高の出身で、熊本大時代に感じた「人と走るとなぜ楽なのか?」という疑問を解決すべく、九州大大学院に進学。2021年からは東大大学院博士課程に進み、「追尾走」を研究してきた。 東大陸上部は大学院チームも学部生とは別に箱根駅伝予選会に参戦している。古川と練習をしている秋吉拓真(東大3年)は日本インカレの5000mで5位に入っており、〝東大コンビ〟が関東学生連合のメンバーに選出される可能性は十分にある。 日本インカレ10000m(9位)で最後まで入賞争いを繰り広げた松田朋樹(湘南工科大4)にも注目したい。 栃木・白鷗大足利高の出身で高校時代の5000mベストは14分38秒だが、記録を出した時期が遅く、駅伝強豪校のスポーツ推薦に間に合わなかった。その〝悔しさ〟を大学でぶつけるように成長した。昨年の箱根駅伝予選会は個人132位(1時間04分11秒)に入っている。 「高校時代から箱根駅伝を走りたいという思いがあったんです。狙い方としてはちょっとイレギュラーかもしれませんが、関東学生連合で目指したいと考えていました。自分で勝手に意識してきたのが、同じ栃木出身の順大・海老澤(憲伸)君です。彼に勝ちたいという気持ちでやってきました」 松田は予選会で海老澤と〝直接対決〟を果たすことなる。湘南工科大競走部は2018年に創設したチーム。同校初の箱根駅伝ランナーが誕生するのか。 【厳しい条件下のレースに?】 10月19日の立川市・昭和記念公園の天気予報は(16日現在)、曇りで最低気温18度、最高気温28度。レース中(スタートは9時35分)の気温は24~26度ほどになることが予想される。16校に留学生が登録されており、今回もハイペースになるのは必至の状況だが、前回(16~18度)、前々回(20~21度)よりも厳しい条件になりそうだ。スピードのあるチームより、タフなチームが有利になるかもしれない。また当日のコンディションを考慮して、指揮官がどのような指示を出すのかもポイントになるだろう。 夢のスタートラインを目指して、学生ランナーたちの〝立川決戦〟が間もなく幕を開ける。 参考●第101回箱根駅伝シード校(前回順位順)青山学院大/駒澤大/城西大/東洋大/國學院大/法政大/早稲田大/創価大/帝京大/大東文化大
酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato