トランプ大統領と大相撲を結ぶもの――「暴れん坊」と「武の原理」
日本には日本の「武の原理」
問題を先送りにせず、それなりの効果を上げているという見方もできよう。しかし敵視された勢力が簡単に矛を収めるわけではない。長期的な貿易戦争は世界経済の未来に影を落とす。自国主義が度を過ぎれば世界の大勢が敵にまわる可能性もある。トランプはもともとカエサルやナポレオンのような武人ではない。経済と政治の「暴れん坊」が境界を越えて本格的な「武の原理」に向かう、その瀬戸際を泳いでいるのだ。 戦後、日本は常にアメリカの「武の原理」に追従してきた。現在も強力な同盟国である。しかし実は今、ひとつの独立国として、このトランプ流「武の原理」に、どこまでそしてどのようにつきあうべきか、という問題を突きつけられてもいる。日本には日本の「武の原理」があるのではないか、いざという時に舵を取るのはどういう人物であるべきか、自衛隊は憲法でどう扱われるべきか、専守防衛と日米同盟の相克はあるのかないのか…。 問題を抱えながらも大相撲は続いてきたしこれからも続くだろうが、トランプ大統領の政治手法はどうだろうか。そしてその同盟国の「武の原理」はどちらへ向かうのか。 文化は変わりながらも続く。しかし人間は、個人も集団も、まことに不安定なものだ。