「体が大きいか小さいかは関係ない」 ヤマル、クバルシ、フェルミン・ロペスらバルサは驚異の若手をどうやって育てている?
育成部門のディレクターが語る目利きのヒント
17歳FWラミン・ヤマル、17歳DFパウ・クバルシを筆頭に、昨今のバルセロナは再びカンテラ出身の若手がチームの中心になっている。では、なぜバルセロナはこれほど優れた若手を次々と生み出せるのか。 『The Athletic』にてそのヒントを明かしたのは、2014年から2021年までカンテラのディレクターを務めてきたジョルディ・ロウラ氏、アウレリ・アルティミラ氏が明かしている。ロウラ氏はかつて横浜フリューゲルスでコーチを務めていたこともある人物だ。 まずロウラ氏は、フィジカル部分はあまり気にしないと語っている。背の高さなどで選手を優遇することはなく、まず見るのは技術力だ。アルティミラ氏も、技術力があればポジションを自由にコンバートできると語る。 ロウラ氏:「フェルミン・ロペスの例がそうだが、我々は常に体格、即戦力になるかというよりも、才能やテクニックを優先している。重要なのはその選手にゲームを理解する才能があるかだ。体が大きいか小さいかは関係ない。もっとも、その子が将来的に止められない193cmのような巨人になればもっと良いけどね」 アルティミラ氏:「能力さえあれば、ポジションを変えることも容易だ。そのようなケースはたくさんある。ただ、GKとセンターバックの候補に関しては体格を見ていたところもある。例えばクバルシに関しては、彼が11歳の時にプレイしている姿を見て、本人に尋ねたんだ。父親はどれくらいの体格かと。父親の背が高ければ、その子供も背が伸びる可能性が高いと判断してね」 また、バルセロナの若手の特長の1つに大人顔負けのメンタルがある。10代から緊張もせず活躍しているのが印象的で、このメンタルもカンテラで養われているものだと2人は語る。 アルティミラ氏「メンタル面も驚きではない。彼らは毎年のように(ユース部門の)テストに合格しており、そこでプレッシャーに慣れているのだ。彼らは8歳でチームに入り、フベニールのカテゴリーに到達するまでに毎年狭くなるトンネルを通過してきた。カテゴリーを上げるには、毎年プレッシャーに耐えないといけないんだ」 ロウラ氏「このプロセスで選手たちは肉体的、技術的だけでなく、メンタル面も成長する。ユースレベルでもバルサは勝たなければならないのだ。何年も在籍している者はテストに合格することに慣れている。トップチームに上がる頃には、ある程度のプレッシャーには慣れているから、トップでも平常心でプレイできる。今の時代、頭を働かせられない選手はトップレベルでプレイできないんだ」 ただ2人は、10代から活躍する選手をきっちりと守っていく必要があるとも語っている。カンテラの頃とは違い、メディアからの注目など慣れないことも多い。トップチームで酷使したり、変わっていく周囲の環境から大人が守っていくことが重要なのだ。 いずれにしても、現在のバルセロナでは育成が大きな成功を収めている。このやり方こそバルセロナらしい戦いであり、再び育成の重要性が分かるシーズンとなっている。
構成/ザ・ワールド編集部
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