北乃きいが発揮する“世界観をものにする力” 『嘘解きレトリック』でのモダンガールっぷり
北乃きいが舞台で培った世界観に溶け込む“柔軟性”
舞台分野では、劇団た組。『心臓が濡れる』で森田涼花との掛け合いを生き生きと表現し、ミュージカル『ハル』では主人公のハルに影響を与えるヒロイン・真由として力強く歌声を届けた北乃。2010年には「サクラサク」という楽曲で歌手デビューも果たしており、ミュージカル俳優としても期待が寄せられる中で、2019年に上演された『ウエスト・サイド・ストーリー』では、可憐で芯の強いマリアを生き生きと演じてみせた。これらの作品に共通するのは、世界観に溶け込む柔軟性が北乃にはあるということだ。 『嘘解きレトリック』第4話では、左右馬が不審な男に気づき、鹿乃子の“ウソを聞き分ける能力”で置引きを暴くと、慌てて逃げ出した男に足を引っ掛けて、「マヌケな泥棒ね」と一言言い放ち鮮烈な登場を果たした北乃。雅の真っ赤なフェルト帽にレトロなワンピースと昭和初期らしからぬ雰囲気は、あわよくば左右馬たち以上に目立ってしまいかねないが、北乃は自らの個性も出しつつ2人を引き立てる、バランス感覚を持って演じている。「人形屋敷」に案内された左右馬たちが通された大広間での会話シーンでは、まるで舞台上で演じているような豪快な高笑いも見せており、時代を先取りしたモダンガールっぷりは北乃の経験値がもたらしたものと言える。 第5話でも引き続きゲスト出演することが明かされており、また北乃の華麗な演技が堪能できそうだ。この先は11月15日公開の本郷奏多とのW主演映画『てっぺんの剣』も控えている。しばらくは舞台に活躍の場を移していた北乃だが、再びドラマや映画で輝く北乃が見られることだろう。
川崎龍也