日本のフェイクニュースの現状(全文1)ファクトチェックが悪影響減の一助に
フェイクニュースという言葉の使い方、種類について
さて、フェイクニュースという言葉の使い方、種類については、人によって解釈もさまざまあるようですが、私は3つに大きく分けています。1つ目が先ほどお話をした権力者による、いわゆるレッテル貼りです。2つ目がいたずら目的、あるいはアクセス数を稼ぐための明らかなうそのニュースです。そして3つ目が自らの主張や思い込みによって根拠の希薄なデータや事柄といった、うわさにすぎない情報を拡散するケースです。 去年DeNAという医療情報サイトで人の健康、または命にまで影響する内容、医療や健康の分野で誤った内容の記事が掲載されていたことが判明し、このサイトは閉鎖されることになりました。おととしには熊本の大きな地震の直後にライオンが逃げたというデマが投稿されて大混乱になり、それを投稿した男が警察に逮捕されました。先月には群馬県の草津白根山の噴火で自衛隊員の方が1人、亡くなりました。自衛隊員の人たちが円陣を組んで一般人を守っていたときに亡くなったといううわさがネット上で話題になって、これを既存の大手メディアが報じないということに不満が出ました。でも実際には部下の隊員をかばおうとして、そのときに背中に石が当たって亡くなったということを自衛隊が明らかにしました。災害が起きて人々が不安な気持ちになっているときにはフェイクニュースが広がりやすいという典型的な例とも言えると思います。 最近では、産経新聞と琉球新報がバトルを繰り広げました。沖縄でアメリカの海兵隊の隊員が重体となった交通事故をめぐって産経新聞は、この海兵隊員が日本人を救出したあとに後ろから来た車にはねられたのだと報道して、この勇敢な行動を報じない地元の新聞を批判しました。今朝になって、産経新聞が記事にあった日本人を救助したということは確認できなかったということで記事を削除しました。また沖縄の新聞に対して、批判に行き過ぎた表現があったということでおわびもしています。 このようなさまざまなフェイクニュース、またはそれに近いものによる悪影響を減らす一助となりうるのがファクトチェックだと思っています。ファクトチェックに関して、日本はだいぶ出遅れていますが、その遅れを取り戻すべく去年設立されたのが、私も所属しているファクトチェック・イニシアティブです。このFIJと呼ばれるファクトチェック・イニシアティブの趣旨に賛同して、私も理事として参加しているということをお伝えして、私からのお話を終えたいと思います。ありがとうございました。 【連載】日本のフェイクニュースの現状をNPO法人理事らが会見 全文2へ続く