日本の航空会社に対する「外資規制」はなぜ撤廃されないのか?
撤廃されない謎
今から15年ほど前、航空自由化が進むなか、日本の航空会社に外資が出資するという話がしばしば持ち上がった。 【画像】えっ…! これがJALの「年収」です(計11枚) 日本の航空会社には航空法の規制があり、外資の出資比率は最大33.3%までとされており、金融危機の際には資金調達に制約が生じるという批判が主に海外から相次いだ。 実際、日本では資金繰りに苦しむ航空会社が多く、社会を揺るがす大型倒産まで起きている。にもかかわらず、航空会社への外資規制はいまだに残っている。本稿では、なぜこの規制が撤廃されないのか、その理由を考えてみたい。
航空業界の大型倒産と外資出資動向
1990年代以降、日本では長引く不況と経済のグローバル化に伴う競争激化により、企業の倒産が相次いだ。航空業界も例外ではなく、企業が現れては倒産するというニュースが相次いだ。特に2010(平成22)年のJALグループの倒産は、3社の負債総額が約2兆3221億円にのぼり、戦後最大の事業会社倒産となった。 同じく2015年に倒産したスカイマークも約710億円の負債を抱えており、当時は久しぶりの上場企業の倒産として注目を集めた。JALもスカイマークも倒産後、機材削減や一部空港からの完全撤退を余儀なくされ、現在も回復していない路線が複数ある。 実は、倒産したこの2社には、倒産前から外資系航空会社から出資の打診があった。 デルタ航空とエールフランス‐KLMは、会社更生法の適用を申請する前にJALへの出資に関心を示し、一部のメディアは合意に達したと報じていた。 また、JALのライバルであるアメリカン航空とブリティッシュ・エアウェイズが主導するワンワールド陣営から、デルタ航空とエールフランス‐KLMが主導するスカイチーム陣営に移籍させ、東アジアのネットワークを強化しようというアライアンス(航空連合)の狙いもあった。 デルタ航空は2015年、債権者であるリース会社イントレピッドの要請を受け、当時経営再建中だったスカイマーク航空の株式取得と共同運航を提案した。しかし、日本の航空業界に対する外資規制や、当時の両社の経営陣の判断により、経営に影響を与えるであろう外資系航空会社の株式取得は数十%の大台を超えることはなかった。 アライアンス移籍もうわさされたJALは、会社更生法の適用を申請して自主再建を選択し、ワンワールド陣営に残った。さらに、スカイマークもANAと投資ファンドのインテグラル社の主導のもとで経営再建を行った。