JAFが伝えなかった「125cm」基準とは? シートベルト150cmよりもっと重要なルール
背もたれ無しブースターシートは身長125cmを超えてから
JAF(日本自動車連盟)は、シートベルトが着用できる身長を長い間『140cm』としていたが、8月下旬、国際的な基準である『150cm』に見直すことを発表した。 【写真】JAF中央研修センターにて行われたチャイルドシートの実演説明会 (18枚) それに伴い、9月12日にはJAF中央研修センター(多摩市)にて身長が異なる3人の子役を使ったシートベルトの実演説明会が行われた。こちらについては別記事(【明日朝の送迎から我が子の確認を!】JAFが学童用チャイルドシートの使用推奨を「150cm未満」へ変更)でお伝えしているので参照して欲しい。 筆者もこの説明会に参加していたが、ひとつ気になることがあった。それは背もたれのないジュニアシート(以下、ブースターシート)を使う場合の身長基準である。 日本国内で流通できるチャイルドシートは、R44またはR129という国連基準に基づいて製造されており、いずれの基準でもブースターシートは身長125cm(8歳頃)を超えてからの使用を義務付けている。 JAFの説明会ではブースターシートの使用ができる身長についての説明はなかったが、むしろ150cm基準よりも重要な数字だと思われるので、改めて125cm基準について解説を行いたい。 現行の国連安全基準であるR129において、ブースターシートは身長125cmを超えての使用を義務付けており、JAF、警察庁、内閣府、自工会、新聞協会など多くの団体で構成される『シートベルト・チャイルドシート着用推進協議会』の公式サイトにも以下のように記されている。 『身長100~150cmで使用するジュニアシートには2種類あり、それぞれ安全に使うための身長が定められている。 ・ヘッドレストやサイドサポートなど背もたれがついたハイバックシート→100~150cm ・背もたれがなく座面だけのブースターシート→125~150cm』
125cm(8歳頃)未満のブースターシート使用はなぜ危険なのか
ブースターシートに125cm以上での使用義務が加わったのは2017年2月9日以降で、UN-ECE R44/04の附則11番として加えられた。 しかし、それ以前にR44の認可申請を行っていた製品にはこのルールは適用されないことに、注意が必要だ。 つまり、R44のブースターシートの中には『3歳・15kgから使えます!』とパッケージや取説に書かれているものが少なくないということ。R44は2023年8月末で世界的に生産が終了したが、1年以上たった今でも通販サイトなどで在庫販売が行われている。 『3歳・15kgから使える』と書いてあっても、その体格では危険だから基準が引き上げられたのである。 では、背もたれのないブースターシートを125cm未満で使うと、なぜ危険なのか? ジュニアシートは基本的に、後部座席に置いて、シートベルト1本でジュニアシートと子どもの体を固定する仕組みになっている。ジュニアシート単体では座席に固定されていないため、走行中もシート本体がズレて、子どもの姿勢やベルトの位置が簡単に崩れてしまう。 なお、現行基準のR129製品なら、ISO-FIX固定可能なブースターシートが基本なので、シートがずれることはない。 身長125cmといえば平均で満8歳以上、小学校2~3年生に相当する。シートベルトが正しい位置に掛かるような正しい着座姿勢でずっと乗っていることは、実際難しいだろう。 一方、背もたれ付きであれば、ブースターシートよりはるかに安全に拘束してくれる。正しい着座姿勢のままホールドできるよう、身長125cmまではフルバケットタイプのジュニアシートを使うことが義務付けられるようになったのだ。