【大人の週末旅】昭和の古民家でいただく、野菜を軸としたコース料理
廻り廊下にはめられた硝子戸やディテールの建材をひとつとってもこだわりが感じられる
二間続きの座敷を板張りの客席へとリノベーション。床の間の軸だけは、今も家の当主が季節ごとに掛け替えるという
撮影しながら味わった夜のコースは、先付けとなるホタテの茶碗蒸しと里芋の揚げ出しからはじまり、本日の野菜盛りで土地の滋味を堪能。レンコンのはさみ揚げや、雪塩を添えた銀杏の素揚げが運ばれてくる頃にはお酒を追加でオーダーしたくなる。メインは肉と魚からチョイスでき、この日は南蛮漬け風にアレンジされた秋鮭を“ご指名”。締めにはイクラをのせたきのこの炊き込みご飯と4種類の香のもの、お吸い物が品よく並んだ。 料理が運ばれるたびに素材や味付けを尋ねると、こちらの高揚する気持ちをいなすようにポツリと言葉が返ってくる。そんな“心地よい不器用さ”も料理を真剣に味わってもらうための、極上の演出なのかもしれない。
夜のコース料理「百舌(もず)」(¥3,750)。*取材は10月中旬、本来は一品ずつ運ばれる
予約席を整えながら「晩秋から冬にかけては、カキフライやロールキャベツも人気です」と語る友子さん 住所:茨城県結城市結城1085 電話:0296-48-8388(完全予約制) BY TAKAKO KABASAWA 樺澤貴子(かばさわ・たかこ) クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークや、日本の手仕事を礎とした商品企画なども手掛ける。5年前にミラノの朝市で見つけた白シャツを今も愛用(写真)。旅先で美しいデザインや、美味しいモノを発見することに情熱を注ぐ。