米ブラックロック最高幹部単独インタビュー トランプ再選後の投資戦略が強気の理由とは?【WBS】
トランプ次期大統領の政策はアメリカ経済、さらには日本人の資産形成にも大きな影響を及ぼします。テレビ東京は、日本円で1700兆円以上を運用する世界最大の資産運用会社であるアメリカの「ブラックロック」の最高幹部リック・リーダー・グローバル債券CIOに単独インタビューし、今後の経済や投資戦略への影響について聞きました。リーダー氏が強調したのは、強気な姿勢でした。 18日に開催された日本の金融機関向けの講演会に登場したのは、世界最大の資産運用会社ブラックロックのリック・リーダー・グローバル債券CIOです。1700兆円以上と言われるブラックロックの運用資金のうち500兆円分を統括する最高幹部はトランプ次期大統領の再選で、投資戦略が変わると訴えました。 アメリカのトランプ次期大統領は輸入品への追加関税の導入や石油などのエネルギー増産を掲げていますが、こうした政策をどう見ているのでしょうか。 「トランプ政権が来年発足し、上院両院を共和党が独占する中、市場はインフレを懸念している。石油の増産はインフレを抑制するが、追加関税はインフレを促進する。アメリカのインフレは再燃しないか」(豊島晋作キャスター) 「トランプ次期大統領が選挙で掲げた政策は『インフレの抑制』だ。当選した後に『公約は守る』と発言した。複数の国や世界全体に対して広く関税が適用されることはないだろう。そして彼はエネルギー費用の低減を目指している。アメリカではガソリン価格が消費者にとって非常に重要。政権の移行期はインフレになると想定すべきだが、政策が機能すれば最終的にインフレは抑制されるだろう」(リック・リーダー・グローバル債券CIO) 「アメリカ経済に強気の見方を持っているようだが、市場はハードランディング(急な景気後退)かソフトランディング(穏やかな景気後退)か議論している」(豊島キャスター) 「ハードランディングになるとは思えない。多くの人は気づいていないが、アメリカは『サービス型の経済』になっている。サービス業は安定している。アメリカ経済の70%が医療、教育、通信、インターネット関連などサービス業だ。こうした安定した経済ではハードランディングのような景気後退は起きにくい。ハードランディングはかつての製造業、コモディテティ(商品)、石油が主体の経済で見られた現象だ」(リーダー・グローバル債券CIO) 「つまりノーランディング(景気後退なし)か、ソフトランディングか」(豊島キャスター) 「ノーランディングだ。ただ今のアメリカ経済の成長率は高いので、ソフトランディングの場合でも経済成長は維持したままだろう」(リーダー・グローバル債券CIO) あくまで強気なリーダーCIO。トランプ氏の大統領選勝利後に上昇したアメリカの株価についても次のように語りました。 「株式市場ではテクノロジー業界の素晴らしい成長がある。AIやソフトウエア分野の研究開発、エネルギー産業への支出も後押しだ。“待機資金”であるファンドには9兆ドル(約1400兆円)の資金があり、人々の給与や収入の一定額が株式市場に流れ込んでいる。さらに企業は1兆ドル規模の自社株買いを実施中だ。巨額の資金が流入する株式市場には買い手しかおらず、売り手がいない」(リーダー・グローバル債券CIO) そんなアメリカの株式市場に落とし穴はないのでしょうか? 「株価は非常に高く、歴史的な水準だ。トランプ次期政権の規制緩和や減税への短期的な“甘い期待”があるのか」(豊島キャスター) 「株価が高いと投資家は調整による下落を期待するが、最終的に資金はどこかに流れ込む。成長の勢いがあるので、資金を投資する場所はたくさんある。だから株価の調整は歓迎する。買いの機会になるからだ。株価の調整は短期間で終わり、元の上昇トレンドに戻るだろう」(リーダー・グローバル債券CIO) あくまで強気のリーダーCIOでしたが、投資先は分散し、社債や国債などの債券にも投資することが特に重要だと話していました。