小型で強力「フォトニック結晶レーザー」、実用化へ新法人…1円玉サイズの装置で金属切断できる
京都大は、小型で強力なレーザー光を作り出せる「フォトニック結晶レーザー」の実用化に向けて、民間企業との橋渡し役となる一般社団法人を設立した。企業との連携の幅が広がり、新たな市場開拓などがしやすくなるという。
フォトニック結晶は、1円玉サイズの装置で金属を切断できるほど強力なレーザー光を出すことができる。京大の野田進教授が1999年に発明し、改良を重ねてきた。既存のレーザーと違い、光を集めるレンズが不要で、装置を小型化・軽量化できる。自動運転に欠かせないセンサー類や通信機器のほか、将来の宇宙開発や核融合炉への応用まで幅広い用途が期待される。
京大には、これまでに国内外から140以上の企業・団体から問い合わせがあり、約50社と共同研究などが始まっている。これまで京大内部で対応してきたが、技術や情報の共有に限界があり、若手研究者の負担にもなっていた。
新法人の名称は「京都大学フォトニック結晶レーザー研究所」で、設立は2日付。野田教授が代表理事を務め、技術、法務の担当理事、専属の技術スタッフらを配置する。事務所は桂キャンパス(京都市西京区)に置き、企業への技術支援や相互連携の橋渡し、サンプルの提供や機器の貸し出し、人材育成などを行う。
野田教授は6日の記者会見で、「京大からは独立した組織になるので、自由度が高まり、実用化を加速できる。気を引き締めてやっていきたい」と話した。