ケニアの巨大スラム街キベラから学んだ新たな価値観と助け合いの姿勢。「SHIFT80」代表・坂田 ミギーさんに聞く
世界の古着の最終集積地となっているアフリカ。廃棄による環境汚染が進むだけでなく、現地のアパレル産業が衰退し働き手の貧困化が加速するなど、大きな社会問題を引き起こしています。こうした現状を打破しようと、古着のアップサイクルをはじめ、アフリカの女性デザイナーや日本の紡績・縫製工場と連携し、アパレルを生産しているファッションブランドがあります。それが、2022年に誕生した「SHIFT80」です。余剰利益の80%をアフリカの現地コミュニティに還元し、孤児や貧困児童、困難な状況にある女性を支援し続けています。今回は、「SHIFT80」の代表兼クリエイティブディレクターの坂田 ミギーさんにお話を伺いました。
旅を通じた出会いが、新たな価値観を与えてくれる
── 「SHIFT80」を立ち上げる前に世界一周の旅に出られていたそうですが、そのきっかけは何だったのでしょうか? 大学生の頃から、頻繁にバックパッカーで様々な国を訪れていました。旅に出ると、新たな価値観に出会えるだけでなく、抱えている悩みが解決されることも多いなと感じています。実は30歳の頃、広告業界で必死に働いていた時に過労で倒れてしまいました。その時、自分は一生懸命働いているけれど、心は満たされていないことに気づいたんです。そこで、仕事を離れ、念願だった一年間の旅に出ました。
── 様々な国を訪れる中で、特に印象的に残っていることはありますか? ケニアの首都ナイロビにある、キベラという巨大スラム街が強く印象に残っています。世界一周旅行でケニアのナイロビの空港から宿に向かう途中、たまたま車でスラム街を通ったんです。それまで私はスラム街に行ったことがなく、「治安も悪く厳しい環境」というイメージを持っていました。でも、実際に訪れてみると、子どもたちが楽しそうに走り回っていたり、働く人々で活気に満ち溢れている光景に出会いました。確かに治安はよくないし、厳しい環境ではあるものの、人も温かくてすごく楽しかったですし、予想とは異なる光景に心を打たれました。