「ドッキリGP」プロデューサーが明かすSnow Man「向井康二」抜擢の理由 スタッフ全員が「マッサマン」人気爆発を確信した瞬間とは
「マッサマン」誕生の瞬間
「ドッキリGP」では、「バンジー・ロワイアル」というマッサマンを生んだ人気企画がある。3人のプレーヤーが、お題に沿った答えを1人ずつ順番に回答するのだが、その際、対戦相手が言った答えも全て暗記して答えなければならない。答えられなかった者は、その場でバンジー台から発射される。 「その当時は、すでに菊池風磨という『ドッキリGP』のスターがいましたが、菊池君とは異なるキャラクターなので対決方式にしたら面白いのではと考えた。その結果、向井君の“天然さ”があらわになった(笑)。菊池君は記憶力も良く、頭も切れる。対決させると、どうしても向井君が不利になるので、彼がルーツを持つ「タイ料理の名前」をお題にした。番組をご覧になってくださっている皆さんなら分かると思うのですが、バンジーはものすごく予算がかかります。毎回向井君が飛ぶよりも、菊池君にも飛んでほしかったので、向井君に有利なお題にしたんですね」 タイ料理には複雑な料理名もあるため、どう考えても向井優勢、菊池劣勢だった。しかし、マッサマンカレーの存在を「知らない」と答えた向井は、その名を暗記することができず、あっけなく空へと放たれた。 「その姿を見た菊池君が、『ガッチャマンの歌』をもじって、“飛べ飛べ マッサマン”と歌い出したとき、スタッフ全員が『これだ!』と確信した。すぐにキャラクター化しようという話になったほどでした」 「バンジー・ロワイアル」を見ても分かるように、ドッキリ番組は手間もコストもかかる。制作費が縮小されているテレビ業界にとって大仕掛けのセットや仕込みは諸刃の剣だろう。一方で、その華々しさがあるがゆえにマッサマンのようなスターが生まれる。 「僕はテレビの強みというのは、ストーリー性があることだと思っています。たとえば、マッサマンのようなキャラクターを作って動画配信コンテンツを始めても、あまり見てくれないのではないかと思います。マッサマンがスターになった背景には、向井康二というキャラクターが放送を通じて徐々に視聴者の皆さんに浸透したこと、さらには先行して菊池風磨というスターがいたことによる対比が面白さやかわいらしさに繋がった。菊池君の記憶力の良さに追いつくために、向井君を特訓するようなコーナーも作ることができました。企画がつながることで物語になり、視聴者が応援してくれる。こうした作り方ができるのはテレビならではだと思います。『ドッキリGP』は、テレビでしかできない、テレビの魅力が詰まった番組だと思っています」
我妻 弘崇(あづま ひろたか) フリーライター。1980年生まれ。日本大学文理学部国文学科在学中に、東京NSC5期生として芸人活動を開始。約2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクションを経てフリーライターに。現在は、雑誌・WEB媒体等で幅広い執筆活動を展開。著書に『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー ビジネス力を鍛える弾丸海外旅行のすすめ』(ともに星海社)など。 デイリー新潮編集部
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