「ドッキリGP」プロデューサーが明かすSnow Man「向井康二」抜擢の理由 スタッフ全員が「マッサマン」人気爆発を確信した瞬間とは
24時間テレビの“裏”には当初反対したスタッフも
数々のバラエティ番組に携わってきた蜜谷氏にとって、「ドッキリGP」は、“満を持した”番組だった。注目度の高い「土曜プレミアム」で放送されれば、一躍人気番組へ駆け上がることができると思った。だが、 「バラエティ番組だけではなく、映画やドラマも放送する枠ですから敷居が高く、なかなかGOサインがもらえませんでした(苦笑)。ところが、24時間テレビの裏だけはいつも視聴率で惨敗していたので、『そこならいい』と言われた。僕は番組に自信があったので、『その枠で構いませんので4時間やらせてください』とお願いしました」 テレビマンにとって、今なお「24時間テレビ」は「巨人」のような存在だという。負けの結果が見えているため、対抗馬を名乗り出る者は少ない。火中の栗を拾うとはこのことだろう。誰も拾わないなら、ドッキリで拾いに行く。そう当時の想いを明かす。 「『ドッキリGP』は、とても手間とお金をかけている番組ですから、『24時間テレビの裏だったら見られないのでは?』とスタッフは反対しました。“愛で地球を救う”をスローガンに掲げている番組に対して、『僕たちは「笑い」だけを求めよう。それって面白くない?』と説明し、理解を得ていった。こうした意図に、首を縦に振ってくれるのがフジテレビの気風でもある。大きな枠でやることが、必ず認知につながると思ったんですね」 その熱が伝わったのか、2021年放送回からコア視聴率においては善戦。中でも、菊池風磨(timelesz)へのドッキリ――アイドルが泥をかぶり、ハダカが映し出される様子は、バラエティ史に刻まれるほどのインパクトを残した。
今年もコア視聴率で一時「24時間テレビ」を抜いた
2021年の好評を受け、翌年も4時間スペシャルを放送。このときは、ネルソンズ・和田まんじゅうのドッキリシーンが、「24時間テレビ」のコア視聴率を抜き去ったという。「旧約聖書」に登場する巨人兵士・ゴリアテは、羊飼いの少年・ダビデに倒されたが、相手が「24時間テレビ」であったとしても、情熱とアイデア次第で和田まんじゅうが風穴をあけられることを証明した。Xでは、「ドッキリGP」がトレンドになることが恒例となり、今年も一時「世界一」のトレンドワードに輝いた。確固たる人気を得たことで、「ドッキリは地球を救うのか? 4時間テレビ」は、フジテレビの夏の風物詩になりつつある。 「最近は、年配者に支持される番組は世帯視聴率のみが高く、若者に支持される番組はコアのみが高い傾向にあります。『ドッキリGP』は60歳以上の視聴者はほぼ見ていないため、世帯視聴率が重要視されていた時代なら、終わっていたと思います」 現在の日本は、60歳以上の人口がとても多い。世帯視聴率は、高齢者が視聴しないと伸びない数字。裏を返せば、『24時間テレビ』の視聴率が高いのは、この層にリーチしているからとも言える。 蜜谷氏は、「『ドッキリGP』スタッフの熱意はすさまじいものがある」と舌を巻く。 たとえば、戦国時代に真田氏と徳川氏が交戦した「上田城の戦い」の中で、真田軍がおかゆを飛び道具にして徳川軍を追い払ったという逸話がある。「ドッキリGP」スタッフは、これをドッキリに応用できないかと考えたという。 「熱湯や冷水は何度も仕掛けたことがありますが、おかゆは未経験です。そのため、スタッフは“何℃のおかゆが最適解なのか”について何か月も議論していた。『お湯と違って流れ落ちないから50℃だと熱すぎる。47℃はどうだろう?』なんて話している。本当に四六時中ドッキリのことばかり考えている集団なんですよね。頼もしいと同時に、我ながら“どうかしている”チームだと思っています(笑)」