「アーケードを撤去する商店街は増えていくだろう」 老朽化したが閉店相次ぎ修繕・維持できず解体を決断 長野
長野県佐久市の十二町商店街で、通りの両側の歩道を覆っていたアーケードが撤去された。各店舗で構成する十二町商栄会によると、鉄骨造りで1977(昭和52)年の設置。かつてにぎわった商店街は、JR佐久平駅周辺の発展や後継者の不在などで閉店が相次ぎ、アーケードが老朽化する中で今後の修繕と維持は困難だと判断した。 【写真】十二町商店街のアーケード(2020年撮影)
約200メートルにわたり続くアーケードの撤去は9月下旬に始まり、10月末に完了した。商栄会代表を長年務め、自転車店を営む市川健一さん(75)は「わずか数軒の店舗で維持していくのはとても無理。解体するにも、資金を準備するのに四苦八苦した」と打ち明ける。
かつて商店街には衣料品店や食料品店、食堂など20余の店舗が並んでいたが、今では文具店や雑貨店、カフェなど数店舗が営業するのみ。市川さんはアーケードの数十本の鉄柱を自ら塗り直すなどしてきたが、今後の修繕費は賄えない―として数年前から解体を検討してきた。
解体にかかった費用は約1300万円で、市などが一部を負担する。悪天候でも買い物を楽しめて、店にも雨が吹き込まないなどの利点をもたらしてくれたアーケード。市川さんは「寂しい思いもあるけど、道が広く感じる」と晴れ晴れした表情。商店街の全国的な衰退傾向に触れて「アーケードを撤去する商店街は増えていくだろうね」と話した。