断熱性能のメリット理解は74%超まで浸透。住み替えでZEHの賃貸住宅を選ぶ人が増える!? ポイントは省エネ性能ラベル
「省エネ性能ラベル」なら省エネ性能やZEHのレベルが把握・比較できるが……?
約8割が「ZEH賃貸住宅を探す方法」を知らないと回答したが、やむを得ない側面もある。一般ユーザーにとっては、省エネ性能のレベルの違いを把握することは難しいうえ、住宅を販売・賃貸する側も情報を提供する際に省エネ性能を独自に表現することが多いからだ。 実は、住宅の省エネ性能の水準を知る簡単な方法がある。それが、「省エネ性能ラベル」(下図参照)だ。2024年4月からスタートした「省エネ性能表示制度」の一環として、広告などで「省エネ性能ラベル」を表示することで、消費者が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにしたもの。 エネルギー消費性能は星(★)マークの数で、断熱性能は家マークの数と数字で分かるようにしており、任意ではあるが、年間の光熱費の目安も記載できるようになっている。住宅の省エネ化が一定水準であれば「ZEH水準」に、エネルギー収支がプラスマイナスゼロ以下になるZEHであれば「ネット・ゼロ・エネルギー」にチェックが入る。 ただし、省エネ性能ラベルを表示する対象となるのは、住宅や建築物を販売・賃貸する事業者(物件の売主や貸主、サブリース事業者など)なので、事業者ではなく個人が家主の賃貸住宅では対象にならない。さらに、表示することは「努力義務」となっているので、表示されないケースも多いのだ。
では、パナソニック ホームズの調査結果に戻ろう。 この「省エネ性能表示制度」については、「聞いたことがあり、内容も知っていた」のは11.0%とまだわずかだった。次に「省エネ性能ラベル」があると、ZEH賃貸のように環境貢献度の高い賃貸住宅が選びやすくなると思うか」聞くと、61.7%が「思う」と回答した。 一般ユーザーに「省エネ性能表示制度」の理解がもっと深まること、広告をする際にラベルを表示する住宅がもっと増えること、この両輪が回るようになれば省エネ性能にこだわった住まい探しがしやすくなるだろう。広告の際にSUUMOなどの不動産ポータルサイトでも、広告の中にラベルを表示することを可能にしているが、残念ながら「省エネ性能ラベル」を表示している事例はまだ極めて少ない。 さて、住まい選びの際に重視されるのは、予算、立地、広さ(間取り)の3大項目になるが、近年では「住宅の性能」が重視される傾向にある。猛暑が長く続き、リモートワークなどで自宅にいる時間も長くなっている。光熱費や快適性が、以前より気になるのは当然の流れだ。 不動産ポータルサイトの検索項目に、「省エネ性能ラベル」が加わって、簡単に検索できるような状況が待ち望まれる。住宅業界全体で普及に努めてほしいものだ。 ●関連サイト パナソニック ホームズ「省エネに関する認知調査」 プレスリリースの全文
山本 久美子