【’23年日本が震えた「重大事件」総ざらい】懲役23年の"ジョーカー" 法廷での意外な言動と変化
「死刑になるために、『ジョーカー』を目標にしました」 7月31日、東京地裁立川支部で京王線無差別刺傷事件を起こした服部恭太受刑者(当時26)に懲役23年の実刑判決が言い渡された。裁判開始当初から一貫して冒頭のように動機を語ってきた「京王線のジョーカー」は、判決を言い渡されても表情一つ変えることはなかった――。 【動機は「元婚約者の結婚を知ったこと」】犯行の引き金となった…京王線ジョーカー 破局した彼女との♡♡プリクラ写真 事件が起きたのは’21年10月31日のハロウィンだった。東京都調布市を走行中の京王線車内で、服部受刑者は映画『バットマン』の悪役・ジョーカーのコスプレをして、乗客の70代男性をナイフで襲撃。さらに車輌に放火し、乗り合わせた12人を殺害しようとした。逃げ惑う人々を見ながら足を組み、タバコを燻(くゆ)らせる姿は、日本中に大きな衝撃を与えた。 「服部受刑者は動機について、『元婚約者の結婚を知ったこと』『会社の不当な人事異動に納得できず、仕事を辞めたこと』と語りました。自殺未遂も起こしており、死刑になりたくて無差別に犯行に及んだといいます」(全国紙社会部記者) あまりにも身勝手な理由で凶行におよんだ服部受刑者。6月26日から始まった裁判でも、反省の色はまったくなかったという。傍聴した捜査関係者が語る。 「初公判に臨んだ服部受刑者は黒髪の坊主頭で、一見すると反省しているようでした。しかし、最後まで被害者への謝罪はなく、聞かれたことに淡々と答えるだけで、罪の意識は感じられなかったです」 しかし、その表情がわずかに変わる瞬間があった。捜査関係者が続ける。 「2回目の公判で被害者の70代男性が車椅子で証人尋問に出廷したんです。男性は怒りを押し殺して『責任を取れないなら何もしないでほしかった』と訴えた。服部受刑者は、うつむきながらじっと聞いていました。男性の悲痛な声をどう受け取っていいのか、戸惑っているようにも見えましたね」 自己中心的だった服部受刑者が初めて謝罪を口にしたのは結審直前の7月20日だった。被害者に対して「大きな怪我を負わせ、生活を苦しくさせて、申し訳なかった」と語り、「罪を償う意味では生きていかなければならない」と続けた。 「殺人未遂の量刑相場は長くても7年と言われていますから、23年というのは厳しい判決です。ただ、判決文の中でも『身勝手な理由』『被害者の多さ』という点が強調されており、たとえ刑務態度などが良くても仮釈放などは難しいでしょう」(弁護士法人『響』の古藤由佳弁護士) 法廷で語った謝罪が、言葉だけでなく人生を懸けて果たされることを願う。 『FRIDAY』2024年1月5・12日号より
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