「共働きが7割」の実態とは。共働きでも家事負担は夫が「114時間」妻「391時間」で偏りも
家事・育児の役割分担
共働きの場合の、家事・育児の分担はどのようなものなのか、内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和5年版」から、6歳未満の子どもを持つ夫と妻それぞれの家事関連時間を確認してみましょう。 2021年のデータをみてみると、専業主婦の場合は夫108時間に対し、妻は567時間、共働きの場合は夫114時間に対し、妻は391時間となっています。 分担の割合をみてみると、専業主婦は84%、共働きの妻は77.4%となっており、どちらにしても妻が7割~8割を担っています。 妻の就労形態での違いもみてみましょう。 同資料から末子の年齢別の夫の家事・育児時間を妻の就労形態で分けてグラフにしています。 どの年齢でも、妻が非就労(専業主婦)の場合が夫の家事・育児時間が一番少なくなります。 全体の傾向として、末子の年齢が上がるに従って、家事・育児の時間は減っていきますが、0~2歳では、妻が正規雇用、非正規雇用の違いはほとんどなく、それ以降の年齢では、妻が正規雇用の方が夫の家事・育児時間は多くなっています。 しかし、それでも正規雇用の妻の家事・育児時間が圧倒的に多いことがわかります。 このことから、妻が正規雇用労働者として働いていても、依然として妻が家事・育児の大部分を担っているといえるのではないでしょうか。
女性が仕事を続けていくために
フルタイムで仕事をしながら子育てや家事もこなすのは、かなり難易度が高いといえます。 それは専業主婦が当たり前だった時代は、男性は仕事だけやっていればよかったことからもわかるでしょう。 今は男性も女性も仕事と家庭を両立させる必要があります。 しかし現実はまだまだ妻側の家事・育児の負担が大きく、妻の仕事を犠牲にして成り立たせている側面があります。 そこで、女性が男性と同じように仕事を続けていくための方法を3つお伝えします。 ●男性の育児休業の取得率を上げる 政府は2025年までに男性の育児休業取得率を30%にする目標を掲げています。 育児休業は、子が1歳に達するまで(保育所に入所できないなどの事情がある場合は最長2歳まで)、原則として2回まで取得が可能です。 両親がともに育児休業を取得する場合は1歳2か月に達するまでの間に1年間休業が可能です(パパ・ママ育休プラス)。 このほかに「産後パパ育休」として、子どもが生まれてから8週間以内に、4週間の休業を2回に分割して取得できる制度が創設されました。 この制度は育休とは別に取得できます。 2024年5月の育児・介護休業法の改正では、3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主の努力義務になります。 また、小学校就学前の子を養育する労働者は、請求によって残業免除を受けることが可能になります。 このような柔軟な働き方を実現するための措置が事業主の義務となるため、小さい子どもを持つ親は男性、女性関係なく、フルタイムでの柔軟な働き方が可能となっていくでしょう。 ●学童保育を利用する 小学校就学前は、前述したさまざまな制度によって、仕事と育児の両立がしやすくなってきています。 しかし、小学校にあがると、これらの制度が利用できなくなったり、親が関わることが増えたりするなど、いわゆる「小1の壁」に直面します。 小1の壁を乗り切るには、学童保育(放課後児童クラブ)の利用がまず考えられるでしょう。 厚生労働省の「2022 年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」によると、放課後児童クラブのほとんどが長期休暇等も開所しており、18時半を超えて開所しているクラブは約6割となっています。ただ、 利用できなかった児童(待機児童)が全国で1万5180人いて、前年よりも増えていることは、改善すべき今後の課題です。 料金は高くなりますが、民間の学童保育を利用するのも一つの方法です。 民間の学童保育は、遅い時間まで預けることができ、なかには夕食の提供を行っているところもあります。 長い時間預かるため、習い事のようなカリキュラムが組まれている児童クラブも多くあり、料金がかかっても、別途習い事をさせることを考えれば、見合った料金といえるかもしれません。