自分を縛るのは自分だけ…羊飼いの少年が旅を通じて“人生の知恵”を得る物語に「感動で震えた」「何度も読み返したい」と絶賛の声【作者インタビュー】
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、累計1億部を突破した世界的なベストセラー小説のコミカライズとして話題を集めた人気作品「アルケミスト 夢を旅した少年」(KADOKAWA)をピックアップ。 【漫画】二度見た“夢”を信じ、羊飼いの少年が宝探しの旅に出る…世界的な名著の初コミカライズに「絵が綺麗で読みやすい」の声 11月26日に同作が発売されると、「キャラの表情が見えて面白い」「感動で震えました」など多くの反響コメントが寄せられた。この記事では漫画を担当した中村環さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。 ■羊飼いの少年が旅を通じて学んだこととは… 神学校に通う少年・サンチャゴは同じ夢を2回も見たことが気になっていた。夢の内容は「ピラミッドに宝物がある」というもの。どうしても旅に出てみたくなったサンチャゴは勇気を振り絞り父親にこの思いを告げる。すると、父親は巾着からお金を取り出し快く送り出してくれた。 「これで羊を買いなさい。そうすれば毛を売りながら旅ができる。」 こうして羊飼いとして旅をスタートさせたサンチャゴだったが、宝探しの旅はそう簡単にはいかず…。諦めかけたその時、ある老人がサンチャゴの前に現れる。 「宝物の探し方を教えてあげようか」 この老人のおかげで“前兆”に気づいたサンチャゴは、ピラミッドを目指してサハラ砂漠横断の旅に乗り出した。 本作は“夢”を信じて宝を探す旅に出た少年が、旅を通じて人生の知恵を学んで行く物語。読者からは「自分の人生を生きようと前向きになる読書感」「絵が綺麗で読みやすかった」「考えさせられるお話だった」「勇気と気力が湧きあがってきた」など多くのコメントが寄せられている。 ■「人が人生を送る上でお守りのように役立つ漫画を…」作者・中村環さんが語る創作秘話 ――原作小説「アルケミスト 夢を旅した少年」を初めて読んだ時の感想をお教えください。 アルケミスト、つまり錬金術師というタイトルだったので、主人公が錬金術師になって錬金術を使うお話かなと思い読み進めていたのですが、本の半分をすぎても錬金術師が出てこないことに驚きました。 しかも錬金術師が本の後半でやっと出てきたかと思えば、その人もほとんど錬金術を使うことなく、道案内をしてくれるだけで、いつ主人公は錬金術を使うんだろう、物語が終わってしまうぞ、とハラハラしながら読みました。 小説を読み進めるにつれて、パウロ氏がタイトルに「アルケミスト」とつけた意味がだんだんとわかってきて、「なるほど!」と思いました。こちらは端的に説明するのがたいへんに難しいので、ぜひ、みなさまにも漫画や原作小説をご覧いただき、この「なるほど」という感覚を味わっていただきたいと思います。 ――「アルケミスト 夢を旅した少年」をコミカライズしたきっかけや理由があればお教えください。 KADOKAWAの編集さんからご依頼メールをいただいたのがきっかけです。ご連絡をいただいたのは、グランドジャンプ(集英社)さんで賞をもらう数日前だったので、当時の実績としては、モーニング・イブニング(講談社)さんの月例賞の一番下の「努力賞」を一ついただいた実績くらいしか、大きな実績がないという人間でした。 大手出版社では新人賞を取るなど、いわゆる実績がないとなかなか新人を起用することは難しいとよく聞きます。事実その通り、私は実績がなかなか増えなくて低迷していたところでした。アルケミストの制作を漫画にするなら、クライマックスは編集さんが中村を起用することを上司に言うところなのではと思っています。 また、私はパウロ氏とバックグラウンドがかなり違うため、小説の「アルケミスト」にでてくる考え方すべてに、完全に共感できているわけではありませんが、アルケミストは誰か、人のために描かれていると感じたので、そういう点ではパウロ氏と自分の目標が共通しているのではないかと思いました。 「人が人生を送る上でお守りのように役立つ漫画」を最低一冊は作りたいという目標を以前から抱いていたので、この目標を実現できる機会だと感じたことも、引き受けた理由の1つです。 ――「絵が綺麗!」という声が多く寄せられていますが、本作を描くうえでこだわった点があればお教えください。 絵が綺麗とおっしゃってくださる方が多くいらっしゃって、びっくりしています。自分では、諸先輩方には遠く及ばず、まだまだ新人の絵だなあと思っております。とにかく276ページという長編を描くのが初めてだったことと、ネームに時間がかかってしまった関係で、間に合わせるように絵を描くということで本当に精一杯でした。 ――本作の中で特に気に入っているシーンがあれば、理由と共にお教えください。 主人公がオアシスからピラミッドへ再出発するちょっと前のところです。主人公の少年はオアシスにたどり着き、そこで運命の相手と出会い、いろいろあって富も得るので、オアシスにとどまろうとするのですが、自分の足を止めているものが「自分自身の恐怖」だということに気づきます。 自分も漫画家を目指そうとしたときに自分の恐怖心が強いことに気づいたので、自分と重なり、印象に残っています。 ――今後の展望や目標をお教えください。 人生を終えるまでによりいい作品をより多く残したいと思っています。絵を描くのが体調の関係もあって速いほうではないので、ネーム原作者(漫画家の中でも作画は担当せず、お話づくりと画面構成を担当する人)になったらいいのかなと思っています。 ――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いいたします。 多作でも速筆でもない作家ですが、もし気に入っていただけましたら、SNSやホームページでも作品を公開しているので見ていただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
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