「スパイ天国」日本、諜報活動の実態とは 『背乗り』著者・竹内明氏に聞く
『時効捜査 警察庁長官狙撃事件の深層』(講談社)など公安捜査をテーマとしたノンフィクションを手がけてきたTBSキャスターでジャーナリストの竹内明氏が、今回は打って変わって初めての小説『背乗り 警視庁公安部外事二課』を上梓した。公安・諜報活動を扱ったフィクションだが、竹内氏は「本当のことを書くにはリスクがあり、小説の姿を借りなければ書けないことがあった」と語る。取材現場の経験者にしか描けない圧倒的なディテールとリアリティーでストーリーは展開。しかし、現実世界でも「誰もが諜報活動に巻き込まれる恐れがある」と指摘する。「スパイ天国」とも呼ばれるこの日本で行われている諜報活動とはどのようなものなのか? 竹内明氏に話を聞いた。 以下、インタビュー書き起こし ――今回、講談社さんから『背乗り』という本を出されましたけれども、竹内さんご自身は現在、ニュースキャスター、それからジャーナリストとして活躍されてこられましたけど、今回、公安捜査に関する本を小説として出されようとしたそのきっかけ、何か教えていただけますか。 竹内:これまでノンフィクションの作品を2つ出してきてまして、『秘匿捜査』と『時効捜査』といって、1つはロシアのスパイの話、で、もう1つは長官銃撃事件の話と、両方とも警視庁公安部を舞台にしたストーリーだったんですけれども、この公安部、つまりインテリジェンスの取材って、全部出してしまうとですね、情報源が危険にさらされるとか、あとはまあ、自分自身もどんな人間と付き合っているのかというのも、尾行されたりなんかしながら調べられることもあるんで、やはりこう、全てを出してしまうとリスクがあるということで、それまで書けなかった情報を、1冊のフィクションという形で小説にまとめたら、これ面白くなるんじゃないのかなと。いろんな事実を組み合わせてストーリーを作れば面白くなるんじゃないかと、そう思って今度、小説に初めてチャレンジしてみました。