共演?競争?日本代表で邂逅した堂安律と宇佐美貴史の素敵な関係
キリンチャレンジカップ2019に臨む森保ジャパンに選出された吉報を受けてMF堂安律(FCフローニンゲン)は他の代表メンバー22人の顔ぶれをチェックした。そして、10人が名前を連ねたMF陣にある選手の名前を見つけたときに、思わず胸をときめかせた。 「最初に気になったのが、やはり宇佐美君でした。同じピッチに宇佐美君と一緒に立てれば、という光景を勝手にイメージしていたので」 憧憬の念を込めて「君」づけで呼ぶのは、昨夏のワールドカップ・ロシア大会以来となる日本代表復帰を果たし、森保ジャパンに初招集された6歳年上のMF宇佐美貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)。ガンバ大阪時代から、堂安が常に背中を追いかけてきた目標だった。 ともにガンバのジュニアユースから心技体を磨いた2人が、トップチームで初めて同じ時間を共有したのは2015シーズン。宇佐美は19ゴールをあげてエースとして君臨し、堂安はユース所属の高校2年生ながら、将来を見込まれて2種登録されていた。 しかし、2016年6月25日をもって、宇佐美はブンデスリーガのアウクスブルクへ完全移籍。ガンバとの決別を決意したが、実は堂安も同時期にヨーロッパへ旅立つ選択肢があった。オランダの名門PSVアイントホーフェンから届いたオファーに、しかし、熟慮した末に断りを入れている。海外志向が強い堂安を思いとどまらせたのは、旅立つ直前の宇佐美からかけられたひと言だった。 「ガンバに残ったほうがいい」 2016シーズンからプロ契約を結び、飛び級で高校3年生にしてJリーガーとなった堂安だが、ファーストステージにおける出場機会はゼロ。ガンバではまだ何も成し遂げていないぞ、という檄も込められた言葉だった。 宇佐美にとっては、アウクスブルク移籍は2度目の海外挑戦だった。思うような結果を残せずに一度帰国したものの、19歳になった直後の2011年夏にブンデスリーガの強豪バイエルン・ミュンヘンへ、翌年にはホッフェンハイムへそれぞれ期限付き移籍している。 しかも、移籍する前年の2010シーズンは18歳ながら7ゴールをマーク。ガンバ史上で初めてとなるJリーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞し、ピッチにこそ立たなかったものの、2011年6月にはアルベルト・ザッケローニ監督に率いられる日本代表にも抜擢されている。