『ヒップな生活革命』著者に聞く、米国のライフスタイルの変化と日本の消費社会の行方
いまアメリカでは、長年同国の経済を象徴していた大量生産・大量消費を抜け出した新たなライフスタイルが生まれつつある。コーヒーはスターバックスなどのチェーン店ではなく、地元の人が経営する小さなお店で買い求め、食事も健康志向にこだわり、ブランド品は持たず、古着屋で買った服やそれをリメイクした服を着こなす。 そうした人たちの生活や価値観の変化を多くの事例とともに紹介しているのが、NYブルックリン在住のライター佐久間裕美子さんが執筆した『ヒップな生活革命』だ。現在、都内複数書店でも好調に売上部数を伸ばしており、高感度な若者からライフスタイル重視の都心に住む人々から支持されている。今回は、佐久間さんが実際に感じた米国の人々の生活の変化や著書に込めた想いを聞いた。
『ヒップ』を象徴するキーワードを具体的に挙げると?
──アメリカがこのような変化をし始めたきっかけは何でしょうか? リーマンショック前のアメリカは大手が中心で、その大手が小さい店を廃業に追い込んできた流れがありました。でも究極のもうどうにもできないレベルの不景気がやってきたことで、大手の本屋などが店舗を一気に減らした時期があったんです。そういう中で自分たちは何ができるだろうと考える人たちが現れ、特定のターゲットに直接語りかけて、小さくてもできる範囲でビジネスをしようと考える人たちが特に若い人の間で増えてきました。 例えば本屋などは、店舗面積は狭くなっていますが、自分と価値観が同じ人たちにターゲットを絞り込んで、自分のエリア特性だけを生かした本を置いています。どんどん商品を売ったり、店舗を増やすことを目的にするのではなく、直接ターゲットに繋がっていく手法を取っているのです。 ──同書に出てくる「『ヒップ』を象徴するキーワードを具体的に挙げるとするとどういう言葉になるのでしょうか? 『ヒップ』という言葉自体が変容しているので、何がヒップなのかという定義はその時によって変わります。ファッションで言うと、『ノームコア』という言葉を挙げる人たちも多いようですが、この本に登場する人たちを言い表すならば、やはり少量生産のものだったり、MADE IN AMERICAのものだったり、服で言えば古着をリメイクして着る人が多いということでしょうか。