もう無理!運動の限界を決める「脳のメカニズム」 パフォーマンスを最大化する「覚醒ゾーン」に入るには?
また、先ほど述べたように、交感神経が活発になると、緊張や力みでフォームが乱れるので、体操やフィギュアスケートなど審美系競技においても、自己記録を出した時の「覚醒ゾーン」を覚えておくといいでしょう。 短距離もそうですが、砲丸投げ、ウェイトリフティングなど瞬発力が求められる競技の場合、心拍数を上げて爆発的な力を出すために、交感神経を一時的にかなり優位としたほうがいい場合もあります。 サッカーやバスケットボールなどは試合の中で、強度が刻々と変化するので、どれくらいがベストかというのは一概には言えません。ただし、ペナルティキックやフリースローのときはリラックスして交感神経の過剰な興奮を抑えるようにしましょう。
――自律神経は意思でコントロールできないものですが、どうすればいいのでしょうか。 身体を動かすことで交感神経が優位になり、ゆっくり息を吐くことで、副交感神経が優位になり心拍数が落ち着きます。運動パフォーマンスを上げるには、運動に入る前の準備運動やストレッチ、深呼吸をするなどの自分なりのルーティンを決め、交感神経と副交感神経のどちらも適度に働いた「覚醒ゾーン」を目指すとよいでしょう。 ――自分なりのルーティンでパフォーマンスを上げることは、ビジネスパーソンにも取り入れられそうですね。
実は運動すると、脳内でドーパミンという神経伝達物質の量が増えるんですね。すると集中力やモチベーションが上がる。ですので、仕事で疲れてきたときに、やる気を出すために運動をするのはおすすめです。その場で屈伸したり、スクワットしたりするだけでいいので、ぜひ試してみてください。
中原 美絵子 :フリーライター