収入減、出産育児で出費増…年収ギリギリで組んだ住宅ローンの返済が苦しくなり始めたら 売却しようにも戸建てはなかなか売れない!?
夢のマイホームで戸建ての家を購入したものの、収入の低下や出費の増大などの諸事情が重なってローンの返済が滞ってしまうことがある。家を手放す決断をして売ってしまえば、売却して得たお金でローンの残りを払って楽になるかと思いきや、そう上手くはいかないケースもあるという。 【写真】「返済に困ったら早く銀行に相談を」とアドバイスする鈴木宏治さん 大阪市の北浜で不動産仲介業を営む、株式会社グラウンド社長の鈴木宏治さんに聞いた。
夫婦合わせた年収がずっと続くわけではない
マンションにしろ戸建てにしろ、ほとんどの人はローンを組んで購入する。鈴木さんが運営しているYouTubeチャンネルには「年収が今◯◯万円あります。◯◯万円の物件を買おうと思っているのですが、ローンを払っていけるでしょうか?」という質問がよく寄せられるそうだ。 「全般的な傾向として、物件を買う前にこのような質問をしてくる人は慎重に検討しているから、まず大丈夫です」と、鈴木さんはいう。 「逆に、そういうことを考えない人がいます。今買えるから買っておこうという人は、後々問題を起こすタイプです」 よくあるのは、夫婦の収入を合わせた年収をアテにしてローンを組むこと。 「たとえば旦那さんが年収400万円、奥さんがパートで働いて100万円稼いでいるとします。『合わせて500万円あったら、ローンを返しながら生活できるよね』と考えてしまうのです」 ところが子供が生まれると、妻は仕事を辞めるケースが多かったという。そうなると妻に収入がなくなる上、子育ての費用がかかってくる。
ローンを借りる際は手元に現金を残しておけ
妻に収入がなくなった途端にローンの返済が厳しくなる原因のひとつに、ローンを組む際に手持ちの資金を全部吐き出していることが挙げられるという。 「手持ちの資金を全て吐き出さなくても、ローンは全額借りられます。手元にまとまった現金を残しておけば、もし収入が減っても慌てずに済みます」 ローンの返済が厳しくなってきたら、早い段階で銀行に相談したほうがいいと鈴木さんはいう。 「銀行だって損をしたくありませんから、返済が苦しくなってきた初期の段階で相談すれば何らかの救済措置があります。たとえば、当面は利息の支払いさえ滞らなければ、元金の返済を待ってくれる場合があります」 最悪のパターンは、返済を滞らせたまま放置することだ。銀行が債権回収会社(サービサー)に債権を譲渡してしまい、サービサーから一括返済を迫られることがある。 「そうなる前には物件を売る話になるはずなんですが、現実問題として戸建ての家はなかなか売れません。たいてい駅から離れているじゃないですか。同じ価格なら駅前のマンションのほうが売れやすいですから、相場価格で売りに出しても戸建ての家に買い手が付くまでには、だいたい半年から1年とマンションに比べて長くかかります」 もちろん買い手が付くまでの間も、ローンを返済し続けなければならない。 自分の首が完全に締まる前に銀行へ相談すれば、最悪の事態は避けられるチャンスが広がるから、くれぐれも滞納したまま放置しないようにとのことだった。 (まいどなニュース特約・平藤 清刀)
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