20年12月に死刑判決…控訴審の争点は責任能力の有無か 日置5人殺害、30日に高裁宮崎支部で初公判
2018年に鹿児島県日置市東市来町湯田で男女5人を殺害したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われ、一審鹿児島地裁で死刑を言い渡された無職岩倉知広被告(45)の控訴審初公判が30日、福岡高裁宮崎支部(平島正道裁判長)で開かれる。一審と同じく、完全責任能力の有無が争点となる見通し。 地裁の判決公判は20年12月11日にあり、岩倉被告は即日控訴していた。関係者によると、控訴審まで約3年10カ月要したのは、岩倉被告への精神鑑定が行われていたためとしている。控訴審初公判には2人の鑑定医が出廷する予定という。 一審判決後の裁判手続きや経過について、福岡高検は「公判に関することは回答できない」としている。 一審では医師の精神鑑定を基に、完全責任能力の有無が争われた。被告の妄想性障害が犯行に与えた影響を巡り、検察側は「程度は軽微で、完全責任能力がある」と主張。弁護側は「障害の影響は著しく、責任能力は限定的」と反論した。
判決は「妄想に指示、支配されるような状況にはなかった。被告人にもともとあった衝動的、攻撃的、自己本位的、他罰的な性格が大きく影響している」として完全責任能力を認め、死刑を言い渡した。 事件を巡っては、18年4月6日、日置市東市来町湯田の民家で男女3人の遺体が見つかった。同8日には別の男女2人の遺体が近くの山中で発見された。県警は殺人容疑などで岩倉被告を逮捕。被告は父親や伯母ら5人の殺害を認めた。 鹿児島地検は19年1月に殺人罪などで起訴。20年12月に死刑判決が言い渡された。09年の裁判員制度導入以降、鹿児島地裁での極刑判断は初めてだった。
南日本新聞 | 鹿児島