「ポチッと注文」ECの裏にある過酷な配送、対等関係とはほど遠いアマゾンドライバー #令和のカネ
やりがいも感じるが負担は急増。アマゾンとは「対等ではない」
新型コロナウイルス禍で前職を辞め、配送業界に飛び込んで約3年。仕事としてのドライバーの魅力や、最近の労働環境についても話してもらった。 大きな魅力は、会社勤めに比べれば自由な時間が確保しやすいこと。セール時などは通常の報酬とは別の追加報酬が支払われるキャンペーンがある。新型コロナワクチンが同居の親族なども含めて早い時期に接種できるようアマゾンが手配したことも好印象だった。「小さい子どもがいたり、高齢だったりして満足に出かけられない家への配達にはやりがいを感じます」と笑顔で答えてくれた。 一方、「最近1年くらいで仕事の過密化(負担増)が急激に進んだことには腹が立っている」と語気を強める。7時間で200個配らされた知人もいる。アマゾンの人工知能(AI)が効率性を追求した結果、「常にベストを求められる」と感じている。報酬は車両1台当たりで計算されるため、荷物1個当たりに換算すれば単価は下がった。仕事はハードでも報酬は高いと思っていたが、最近はその魅力も薄れているという。 アマゾンに問い合わせたいことがあっても手段は基本的にメールのみ。返ってくる文章も「問題を解決する権限を持っていない担当者によるテンプレート(ひな型に沿った回答)が多く、ほとんどらちが明かない」そうだ。アマゾンは「デリバリーパートナー」とうたうが、対等な関係ではないと常々感じている。 アマゾンのホームページによると、国内で商品配送を担うドライバーは岩田さんのような直接契約の個人事業主だけで数千人(昨年末時点)に上る。他にも「デリバリーサービスパートナー」と呼ぶ委託業者で働く人や、そこからさらに下請けに出される荷物を運ぶ人もいる。全員が「アマゾンのドライバー」として、アマゾンの厳格な管理の下、昼夜を問わず各地を走り回っている。 ※この記事は、共同通信とYahoo!の共同連携企画です。