日産ファンは待っている。「やっちゃえNISSAN!」──新型ノート・オーラ・オーテック・スポーツスペック試乗記
日産の「ノート・オーラ」に、新たに加わった「オーテック・スポーツスペック」は、こだわりの1台だった! プロトタイプを試乗した今尾直樹がリポートする。 【写真を見る】新型ノート・オーラ・オーテック・スポーツスペックの全貌(15枚)
販売好調なノート・シリーズ
日産の小型車、ノート・オーラに日産モータースポーツ&カスタマイズ(略称NMC)が専用チューンを施したファクトリーカスタム、オーテック・スポーツスペックが登場した。 では、ここで問題です。NMCが手がけるノート・ベースのファクトリーカスタムはすでに3モデルが発売されています。その3モデルとはなんでしょう? カチカチカチカチ。答はこちら。ノート・オーテック・クロスオーバー、ノート・オーラ・オーテック、そしてノート・オーラ・ニスモ。正解の方はエラい! なにも出ませんが、あなたは立派な日産とNMCのファンです。 さて、現行ノートは2020年12月に発売された3代目で、ノートと、40mmワイドボディを持つ高級版のノート・オーラから構成されている。単にオーラと呼ばれることもあるノート・オーラともども、発電用の1.2リッター3気筒と、駆動用のモーターからなる日産独自のハイブリッド、e-POWERを搭載。降雪地方向けに後輪をモーターで駆動する4WDもある。 ノート・オーラは、ボディと装備が違うだけではなくて、e-POWERのモーターが高出力化されてもいる。発電用の1198ccの直列3気筒ガソリンエンジンは最高出力82ps/6000rpm、最大トルク103Nm/4800rpmで同一なれど、前輪を駆動するモーターの出力&トルクはノートが116psと280Nmに対して、ノートのプレミアム版たるオーラは136psと300Nmに強化されているのだ。4WDの後輪用モーターは68psと100Nmで、共用する。 ノートのカタログ・モデルはXのみ、ノート・オーラはGとGレザーエディションのみという、どちらもシンプルな構成になっている。ただし、前述したように、ノートにはオーテック・クロスオーバーが、オーラにはオーテックとニスモ、ふたつのスペシャルバージョンが設定されている。 そのノートは昨2023年末にフェイスリフトを受け、「デジタルVモーション」なる最新の日産顔に変わっている。販売は好調で、オーラを含むノートシリーズは2024年1月~9月の自販連の統計でトヨタ「カローラ」、「ヤリス」、「シエンタ」のトヨタ勢に次ぐ4位の座を占める。国内市場における日産の最量販モデルであり、そのノートに並ぶのが同時期の統計で7位につけている日産「セレナ」なのだ。でもって、この2トップの販売を援助すべくNMCが開発したのが10月に発売されたセレナ・オーテック・スポーツスペックであり、オーテック・スポーツスペックとしては第2弾となるオーラ・スポーツスペックなのである。 しかして、オーラにはすでにニスモバージョンがある。このふたつの棲み分けは次のように説明されている。どちらも「スポーツ」ということでは共通している。けれど、ニスモはモータースポーツ由来の「速さと高揚感を」。オーテックはクラフツマンシップによる「上質さと爽快感を」訴える。オーテック・スポーツスペックはニスモと同等の加速感を備えつつ、コーナリング性能よりも、安定性と乗り心地を重視するキャラクターに設定されている。 もっとも、コンセプトはコンセプトであって、具体的にその味付けをどうするのか? 現場、とりわけ開発ドライバーは苦労したらしい。オーラのベース車とオーラ・ニスモのあいだにある隙間に、絶妙のコントロールでもってオーテック・スポーツスペックを投げ込まねばならないのだから。