中国が望む勝者、不確実性のトランプ氏より継続性のハリス氏か
中国政府は選挙に影響を与えようとしていると見られたくないようだ。米政府関係者によると、11月の大統領選挙に干渉しないよう中国政府に一貫して警告しているものの、心配するような動きは今のところ見られないという。
サリバン氏が8月に北京を訪れ、習氏、王氏と会談した際にも、米国との関係をさらに改善したいという中国側の熱意は明らかだった。米政府関係者は何度も「なぜ友人でいられないのか」という問いを耳にしたという。
ワシントンの中国大使館事情に詳しい人物によると、中国当局は、9月のトランプ氏とハリス氏のテレビ討論会後、ハリス氏の政策や人事に関心を寄せているようだ。
ハリス氏が対中政策で何をするかはまだはっきりしないが、討論会でハリス氏は、中国企業への先端技術製品の販売を認め、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の初期に習氏へ感謝を表明したトランプ氏を批判した。
ハリス氏は、トランプ氏が中国との貿易戦争を始めたとも非難し、関税を「トランプ消費税」となぞらえ、中間層の物価を軒並み引き上げるとも述べた。
消費低迷が続く中、中国経済を支える柱の一つである中国の輸出を止めるような不安定な動きを、ハリス氏は避けるとみられる。
ジョージタウン大学のラッシュ・ドーシ助教によると、中国側の一部は、米国が台湾を防衛しない可能性を示唆したトランプ氏の発言は、台湾に対する中国政府による武力行使の許可を与えているのではないか、と欧米の政府高官や学者に尋ねているという。
2021ー24年に国家安全保障会議の中国・台湾担当副上級部長を務めたドーシ氏は、中国政府が「トランプ氏が短期的には予測不可能な事態をもたらすと懸念しているが、長期的には、同盟関係を弱体化させることで、米国の衰退を加速させることを確信している」と指摘した。
対照的に、ハリス氏が技術統制と同盟構築を継続することにより、中国政府は長期的に深刻な不利益を受けるとみているという。