“水かけ”は絶対NG! 実は難しい「焚き火の消火」 危なすぎる「突風体験」&確実な「3つの方法」
寒い季節の焚き火は、体を暖めてくれるだけでなく、ゆらめく炎に癒されて心まで暖めてくれる。魅力が尽きない焚き火であるが、実は「着火」以上に「消火」について知っておく必要がある。 ■【画像】焚き火が恋しい季節は乾燥や強風の季節でもある! これで安心「3つの消火」をキャンプ場で実践(写真をすべて見る) キャンプでの就寝前などは、時間を計りながら灰になるまで燃やしきるのが前提であるのはもちろんだが、強風の吹き始めや予期せぬ突風時などは、一刻も早く確実に消火しなくてはならないときもある。火の消し方を間違ってしまうと、やけどや災害につながりかねず非常に危険だ。 今回は、焚き火歴25年になる筆者が、経験も踏まえて「しっかりと効果的に消火する方法」を3つ紹介する。家庭の防災対策にも役立つ情報もあるので、ぜひ参考にしてほしい。
■「水」を使った消火方法
焚き火を消す際に、すぐに思いつくのが「水」を使う方法だろう。ただし、バケツなどで一気に水を掛けるのは危険な行為だ。一瞬にして高温の水蒸気が発生したり、はぜて飛び跳ねた炭や灰でやけどを負ったりするリスクがある。 焚き火をする際は、水を張ったバケツを用意しておくのは鉄則だが、火を消すときは水を掛けるのでなく、火ばさみなどを使って火種をバケツに1つずつ移し入れることを推奨する。水に浸けた火種が完全に鎮火していることを確認するのも重要だ。
■「火消し壺」を使った消火方法
「火消し壺」は便利なアイテムである。火が残った炭を火ばさみを使って「火消し壺」に入れ、ふたを閉めて密閉すると、酸素が遮断されて自然と鎮火する。煙や灰の飛散も防ぎ、炭を再利用する際にも役立つ。 ただし、炭を入れた直後の「火消し壺」は非常に高温になる。取っ手が付いていても、素手で触るのはNGだ。誤って本体に触れてしまうと、やけどをするリスクがある。必ず耐熱グローブを着用し、移動や片付けは十分冷めたのを確認してから行うようにしてほしい。
■「キッチン用消火スプレー」を使った消火方法
キッチン用の消火スプレーとして使われることが多い「エアゾール式簡易消火具」は、予期せぬ突風などの緊急時や、急な撤収で素早く消火したいときに役立つ消火具だ。消火スプレーの製品表示に「小規模普通火災適応」とあるものなら、焚き火の消火にも使用することが認められている。 ここで筆者が焚き火歴まだ2年目くらいのときに味わった恐怖の体験を紹介したい。キャンプ場でのことだ。たまに微風が吹く程度だった風が徐々に強まり、火をどのように消そうか迷っていると、いきなり突風が吹き荒れて、なんと3cm角くらいの熾き火(おきび=赤く燃えた炭)が数個、打つ手もないまま隣のサイトに飛んでいってしまったのだ。 幸いけがも被害もなかったが、パニックになりかけたのは言うまでもない。強風を察知した段階で、適切に消火できていれば、危険な目に遭うこともなかっただろう。 「エアゾール式簡易消火具」を今回のキャンプでも実際に使ってみたが、火元に向けて噴射すると5秒ほどで立ち上がっていた炎が消え、続けて20数秒ほど消火スプレー剤がなくなるまで噴射すると完全鎮火し、あらためてその威力に感心させられた。 ただし、火種の温度や多さなどによってはこの通りではないだろうから、鎮火したように見えても、水につけるなどさらに安全を心掛けてほしい。なお「エアゾール式簡易消火具」は家庭のキッチンの防災にも役立つので、常備しておくのもおすすめだ。使用前には表示や使用方法を確認し、いざというときに備えて一度練習しておくとよいだろう。
■焚き火は消火のスキルがあってこそ心から楽しめる
焚き火を楽しむためには「消火」のスキルが欠かせない。今回紹介した3つの消火方法と、筆者が経験したような予期せぬことが起こり得ることも頭に入れておいていただければ、いざというときもしっかりと対応できるだろう。またキッチン用の消火スプレーを備えておけば、家庭の防災対策にもなり安心だ。楽しい焚き火の後は、しっかりとした方法で火の始末を徹底しよう! スガタ ジュンヤ 宮城県在住。キャンプ・フィッシングなどのアウトドアライター。 キャンプ・海釣り歴20年で、ファミリーでもソロでも楽しめるアウトドアライフを提案。
スガタ ジュンヤ