「ステージ0で大腸がんを早期発見」できた村上弘明さん、「40代、ステージ1で手術後も転移・再発」した女性、それぞれの実体験
近年、男女ともに死亡者数が増え続けている大腸がん。便に血が付着することでわかるケースもあるが、ほとんどの場合は自覚症状がなく、気づいた時にはかなり進行していることも少なくない。大腸がんを早期発見し、克服した俳優の村上弘明さんと「ピアリング・ブルー」代表の佐々木香織さんに「命を守る方法」を聞いた。 【画像】人間ドックで大腸がんが見つかったと明かす村上弘明さんを写真でチェックする
教えてくれた人
村上弘明さん(67)/俳優。 1956年岩手県出身。1979年に俳優デビューし、『必殺仕事人』『白い巨塔』など時代劇から現代劇まで幅広く活躍。2018年2月、3年ぶりに受診した人間ドックで大腸がんが判明。超初期のステージ0だったため、転移もなかった。 佐々木香織さん(52)/消化器がん女性のための支え合いSNSコミュニティー「ピアリング・ブルー」代表。 1994年津田塾大学卒業後、テレビ局のニュース番組記者に。2018年6月、直腸がんが判明し、手術後に転移と再発。現在も治療を続けながらがんに関する情報発信を精力的に行う。
村上弘明さん「判明は“カミさんにせかされて”」
「大腸のポリープの先端にがんの疑いがあります」 2018年2月、62才のときにがん検診を受けた村上弘明さんは医師からこう告げられた。 「ずっと健康に自信があり若い頃は検診も人間ドックも受けたことがなかったけど、50代になってカミさんから“年齢的にも受けてみたら”と言われ、1~2年ごとに人間ドックで検診を受けるようになりました。がんの疑いがあると判明したのは仕事が立て込んで3年ほど検診を休んでいた時期のこと。せかされて受けに行った途端のことでした」 万が一がんだったら、内視鏡で取ると腹腔内で飛び散る可能性があり、手術で切除した方がいいと医師はにこやかにすすめた。 「“がんだとしても超早期だから万々歳。よかった、よかった”とニコニコしながら言うけれど、ぼくとしては“よくはないでしょ”という気持ちでした(苦笑)。 一緒に説明を聞いたカミさんのすすめもあり、手術を受けることにしました」 診断から3か月後に全身麻酔で1時間の手術を受け、ポリープを切除。腫瘍はステージ0の大腸がんだった。腹腔鏡手術のため傷痕はほとんど残らず、体への負担は最小限ですんだ。 「ストレッチャーに乗せられて手術室に入ったときは、役者としていい経験になると思いました。医師を演じたことはあるけど、患者役はなかったのでね。 見たこともない手術室の強い光に“ドラマのようだ”と思いながら眠りに落ちました」 手術の1か月後には出演ドラマのイベントに出演。早期に発見したため、仕事復帰もスムーズだった 術後、放射線や抗がん剤による治療は必要なく、順調に回復した。 「5日間の入院でいろいろ考えさせられました。つまりは健康とは魂を形作るための一つひとつの手立てなのだとしみじみ感じました。検診で早期発見できて本当によかったと思っています」 2018年以降も、1年~1年半ごとに定期検診を続ける。今年の春にも検診を受け、「異常ありません」と診断されたばかりだ。