「やっぱ祭りやりたいよ」液状化被害で危ぶまれる秋の祭礼 活気取り戻すために…
テレビ金沢NEWS
石川県内灘町で約170年、守り受け継がれてきた秋の祭礼。しかし、ことしは地震による液状化被害が深刻で開催が危ぶまれていました。そうした中、街に活気を取り戻そうと奮闘する地元青年団のメンバーに密着しました。
内灘町西荒屋で生まれ育った橋本 謙介さん。
地元は元日の能登半島地震で深刻な液状化被害に見舞われました。
橋本 謙介さん: 「砂利ひいてあるだけ、何も変わってないと思うし、こことかもこんなんじゃない。真っすぐだったし」
道路や住宅などの被害は甚大で、西荒屋地区では約4割の建物が応急危険度判定で「危険」と判定。具体的な復旧の見通しは未だに立っておらず、約1割の住民が地震の後、この地区を離れました。 橋本 謙介さん: 「いい人がいっぱいいるから。帰って来てというか、忘れられなければいいかな」
こうした現状に危機感を持った地区の住民たち。有志で復興委員会を立ち上げ、地区の現状と町への要望などについて話し合います。 そこで、区長が話したのが秋の祭りについて… 西荒屋地区・黒田邦彦区長: 「私、区長としては、ことし秋の祭礼もできませんし…」
西荒屋地区で約170年受け継がれてきた秋の祭礼。笛や太鼓の音と共に「棒振り」と呼ばれる演舞を披露しながら、朝から晩まで町内を練り歩く、街の大切な神事です。
橋本 謙介さん: 「最後にいいですか。区長はさっき祭りは出来ないって言ってたけど、小学生はしたいって言ってる。今まで通りやるのは無理なのはわかってるが、伝えていくとなったら途切れさすのはよくない。自分もしたいと思ってるので考えて欲しい」 子どもたちのため、そして街を出ていった人が戻ってくる切っ掛けになればと、橋本さんは祭りの開催を提案しました。
しかし、2回目の復興委員会では… 「思いはわからんわけではないけど」 「子どもが祭りしたいって言ってたから、俺はそうだって思う」 「思いは思いかもしれないが、そういうのは区長として賛成できない」 「参加者とか(祭り)実際できるんか?」 街には未だ震災の爪痕が色濃く残り、子どもたちを心配する声が上がっていました。 それでも、子どもたちに祭りの楽しさを伝えたい…橋本さんたちは議論を重ね、道路事情を考慮して街の練り歩きは中止としたものの、公民館の前で演舞を披露することが決まりました。